友情結婚、という言葉を初めて聞いた。いわゆる友だち夫婦ではない。性的な相互独占契約を前提としない結婚の形を指すらしい。ズバリ言えば、最初からセックスレスの夫婦である。
平日の朝、東京の木場公園を眺められるカフェに来てくれたのは老舗の中小企業にて「美術系専門職」をしているという柳沢留美さん(仮名、46歳)。黒髪で黒い服を上手に着こなし、表情豊かによく話す。都会的で快活な印象を受ける女性だ。
3年前に結婚した相手の伸彦さん(仮名、52歳)は、友情結婚の理由を親を含めて他人に知られたくないとのことで同席していない。留美さんは「夫のプライバシーについては話さない」という条件で取材に応じてくれた。
好きになる男性は、「家族」とは違った
東京出身の留美さんは、職業柄もあって友人知人には独身者が多い。恋愛は人並みにしてきたが、その相手は生活のパートナーとイコールではなかったと振り返る。
「親の世代と違って、私たちは恋愛結婚が当たり前ですよね。でも、付き合ってきた男性は『家族』という視点では齟齬が大きかった気がします。私は男性的な見た目や振る舞いを好きになりがちですが、そういう人はモラハラっぽいことが多いのです」
留美さん以外の女性からもよく聞く傾向なので、もう少し深掘りしておきたい。留美さんはどんなときに「男性的な振る舞い」だと反応するのだろうか。
「私を『女なんだからこれはやらなくていい』と大事にしてくれて、ロマンチックな発言をしてくれるときですね」
つまり、男性は強いので頑張って女性を守る、女性は弱いので従う、という前提だ。その関係性が、恋愛感情を発動させる仕組みになる。当然ながら対等な関係ではないので、男性の言動は受け取る側の感情次第で、「男らしくて頼もしい」とも「モラハラ」とも取られてしまう。


















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