
結婚をして新しい家族と共同生活を始めるためには「折り合い」や「融通」が必要となる。小さな子どもや老いた親の世話をしている最中の人は、好きな人がいても結婚に進みづらいのは確かだ。
しかし、大人だってひとりでは生きていけない。支え合い、寄り添い合うパートナーが欲しいという気持ちがあって当然だ。
「これでお互いに自由になれるね」と円満離婚
横浜市在住の小林由香さん(仮名、52歳)と坂本典明さん(仮名、54歳)は2020年に企業間の親睦会で知り合い、3年後に交際を始め、その1年後には結婚を決めた。由香さんには精神の病を抱えた姉と介護が必要な母親がいるため、現在は事実婚にして週末婚だ。自殺未遂をはかったこともある姉が落ち着き、施設に入ることを嫌がっている母親の介護を手厚くした暁には「2人で一緒に住めるようになったらいいね」と話し合っている。
そんな由香さんはピンクのニットを着こなして、強めのパーマをかけたロングヘアの女性だ。言語明瞭でやや早口かつマイペースにどんどん話す。「暗さ」を少しも感じさせない。
「私は20年間、ファッション業界にいました。若い頃にアパレルショップを開業したこともあります。だから、無意識のうちに経営者目線の発言が多くなるようです。40代の前半までは職場の上司などから生意気だと言われ続けていました。この年齢になり、ようやく『(経営者目線で働いてくれる)あなたがいて助かる』と評価されるようになりました」
26歳のときに4歳年上の雄一さん(仮名)と結婚したが、しだいに会話がなくなった。由香さんは自らが経営するお店のことに集中しすぎて、雄一さんとたまたま休みが重なると煩わしく感じていた。
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