アコーディア新社長に直撃!委任状争奪戦の勝算 PGMとの統合、太平洋クラブの支援は

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--今回、コンプライアンス問題が浮上した背景には、そもそもPGMホールディングスとの経営統合の話があったと聞く。アコーディアもPGMも、外資の下でゴルフ場再生のために作られ、それが上場し、ビジネスモデルも多少の差はあれ似ているところがある。足元のこじれた問題はとりあえず脇に置くとして、この2強が経営統合するということについて、どう考えるか。統合のメリット、デメリットは何か。

将来的には、そういうことも当然検討しないといけないかもしれない。ただ、現時点で、両社のゴルフ場には「ポートフォリオ」の違いがある。アコーディアは2~3年、あるいはそれ以前からポートフォリオの入れ替えを積極的に行ってきた。去年も今年も(売却・買収による)ゴルフ場の入れ替えを行う中で、関東・中部・関西圏を中心とした大都市圏に保有する比率が67%程度になっている。一方、PGMが大都市圏に保有する比率は57%程度。(ゴルフ場の立地による)ポートフォリオの差は、大震災以降、顕著に表れている。PGMは茨城や栃木に立地するゴルフ場が多い。震災以降は、アコーディアもそうだが、あの地域のゴルフ場では入場者数が激減した。その立ち直りをまだ見ていかなくてはいけない。統合のいちばんのデメリットは、そういうポートフォリオの違いだ。

もう1つ大きいのは、今、業界が大変な供給過剰というか過当競争になっているということ。東京に近い、大都市に近いところでは客単価は下げ止まり、これから若干上がってくるのではないか。また、まったくの遠隔地である地方のゴルフ場ではもう下げ止まっている、というより、それ以上下げられない状況まで来ているところがほとんどだ。

ところが、その中間地域、つまりPGMがたくさん保有されている、北関東、中国、四国など地方のゴルフ場では、今まで名門といわれていた、非常に敷居の高かったコースでも、集客のために料金を下げている。そうした中間地域ではまだまだ客単価の低下傾向は継続するだろう。そういう中で、アコーディアとPGMがもし一緒になったとしても、そうした流れは変わらないと思う。

--アコーディアのゴルフ場のオペレーションは、ある意味でPGM以上に定評があると聞く。そういう意味では、アコーディアのオペレーションの仕組み、ノウハウを、統合によって適用できれば、PGMの改善度はひょっとして大きいのではないか。

PGMもそういうところには当然取り組んでいるだろう。ただ、ここ3~4年を見てみると、アコーディアが積極的にポートフォリオの入れ替えを行ってきたのに対し、PGMのスピードは遅かったと思う。(PGMは昨年12月に)平和が大株主になったため、今後はそうしたポートフォリオの入れ替えがどうなるかはわからないが、現状ではアコーディアの大都市圏比率が67%、(ポートフォリオの入れ替えに)ほとんど手をつけられなかったPGMは57%。その差のほうが大きい。

--一方で、アコーディアのゴルフ場は稼働率が高いのかもしれないが、その分、土日などにはコースが非常に混んでいるという声もある。そうしたオペレーションをこのまま突き詰めていって本当によいのか。

混みすぎということだが、それはそれだけ集客能力があり、コースの評判がよいということ。コースを回りやすくしたり、積極的にフェアウェイへの(カートの)乗り入れ等を行うなど、お客様が快適にプレーできる環境作りはやってきたし、続けていきたい。

 

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