昇進意欲の「男女格差」はなぜ拡大しているのか? 企業内の昇進ルートが女性向けに設計されていないという現実

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一方で、女性のキャリアアップを「ほとんど優先していない」「全く優先していない」と認めた企業は20%に達し、有色人種の女性に限定するとその比率は約30%に跳ね上がる。

この調査には直接比較できる過去データはないが、企業が女性の成功を評価する姿勢がどう変化してきたかは明らかだ。17年には企業の88%が「ジェンダー多様性は優先事項」と答えていたが、24年は78%に低下した。

裏切り

こうした変化は裏切りと言っていい。そしてその裏切りが、昇進意欲の格差をさらに広げている。マッキンゼーとLeanInの調査は、女性が男性と同じだけマネジャーから支援を受けられれば、格差は解消されることを示している。

「米国の企業社会が自分たちの味方ではないと感じれば、女性の意欲が低下し始めるのは理にかなっている」と、リポートの共同執筆者であるマッキンゼーのアレクシス・クリフコビッチ上級パートナーは語る。「彼女たちは日々の経験を通して、それを痛感している」。

昇進意欲の格差は、企業内昇進ルートのはしごの最上段と最下段で最も大きい。昇進を望むと答えた割合の男女差は、エントリーレベルで11ポイント、上級管理職では8ポイントだった。

キャリアの出発点にいる女性たちが、職場での不公平を察知するのに時間はかからない。社内では支援者を得にくく、昇進候補に挙げられる機会も、難易度の高い仕事を任される機会も少ない。フレックス勤務は、最も恩恵を受けてきた女性への影響がほとんど考慮されることなく廃止されつつあり、女性たちはその様子を目の当たりにしている。

米企業社会で、より「男性的なエネルギー」や攻撃性を求める声が最近強まっていることも肌で感じ取っている。男女間賃金格差が2年連続で拡大する中、「DEI(多様性・公平性・包括性)は行き過ぎだった」と語る最高経営責任者(CEO)たちの発言も耳にしてきた。

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