「コミュニケーションの技とコツ」
「政治家になる!」
「説得術:効果的に人を動かす方法と科学」
上のタイトルは何を示しているかわかるだろうか。「都内で開かれている怪しい自己啓発セミナー?」と思われた人もいるかもしれない。実はハーバードの大学院で開かれている授業の名前だ。
100人以上のノーベル賞受賞者を生み、知のトップを走るハーバード大学。難しい学問を教えているイメージがあるかもしれないが、実践的な教育も売りだ。なかでもその道のプロを育てる大学院(プロフェッショナルスクール)では、最先端の学問を身につけるより、学問をどう生かすかに力を入れている。私が学ぶケネディスクールもそんな大学院のひとつ。
前回記事でも紹介したとおり、筆者の所属する修士課程は学生の平均年齢が38歳。キャリアをさらに発展させたい大人の学び直しの中身が、実務に役立たない机上の空論では話にならない。それでは世界トップの大人の学校は、いったい何を教えているのか。今回は今、ハーバードで大人たちが熱烈に支持する授業を紹介したい。
あの白熱教室で教授が「話さない」ワケ
「おい、お前、偉そうなんだよ!」
こんな怒号が飛びかう授業がある。ケネディスクールで最も人気が高い、ロナルド・ハイフェッツの「リーダーシップを発揮する」だ。
同授業はNHKの人気番組・白熱教室でも取り上げられた。だがNHKの番組はハイフェッツが講義をする短期のワークショップ形式。ケネディススクールで実際に開く“リアル”白熱教室では、ハイフェッツはほぼ講義をしないし話さない。
「授業なのに教えない」とはどういうことか。