「究極の数学」は驚くほどエレガントで力強い 青木薫が味わうNHK数学ミステリー白熱教室

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惑星ソラリスの生命体は私たちと同じ数学を夢見るのか?(写真:Graphs / PIXTA)
11月13日(金)からNHK Eテレで放送の始まった「数学ミステリー白熱教室 ラングランス・プログラムへの招待」。イケメン教授のエドワード・フレンケル氏が、「心も頭もしびれる究極の数学」(ツイッターより)を白熱講義するこの番組は、中学数学を終了程度の知識で、現代数学のもっとも心踊るプロジェクトの神髄にふれさせようという意欲的な試みだ。
フレンケル教授の著書『数学の大統一に挑む』を翻訳した翻訳家の青木薫氏が、毎回ごとにその授業の謎解きをする。その第一回、「惑星ソラリスの生命体は私たちと同じ数学を夢見るのか?」

 

第2回 天才数学者が決闘死前夜に残した奇跡のメモ
第3回 日本の天才数学者、谷山豊が得た奇跡の着想
第4回 物理学者は、数学者の肩に乗った小人なのか

 

「数学ミステリー白熱教室」(全4回)が、NHKのEテレで始まった。第1回の放映があったのが11月13日。講師はカリフォルニア大学バークレー校の数学教授、エドワード・フレンケルだ。講義のテーマは「ラングランズ・プログラム」。ラングランズ・プログラムなんて初めて聞く、という人も多いことだろう。なにしろそれは、現代数学の最先端の話なのだから。

数学が持つ美しさとパワー

エドワード・フレンケル(Edward Frenkel)/1968年旧ソ連生まれ。父親がユダヤ人との理由でモスクワ大学の入学試験で全問正解したにもかかわらず不合格となり、やむなく石油ガス研究所(日本でいうところの工業大学)に入学、応用数学を学ぶ。一方で純粋数学の研究を続け、在学中にハーバード大学に客員教授として招かれる。その後、ラングランズ・プログラムと出合い、量子物理学にまで拡張。カリフォルニア大学バークレー校の数学教授。親日家でもある。「愛の数式」をテーマとする映画を製作・出演

「”数学”と言われただけで頭が真っ白になるというのに、”現代科学の最先端”なんて、ムリムリ……」と思う人もいるかもしれない。しかし、心配は御無用。フレンケルの「数学ミステリー白熱教室」には、数学者や学生だけでなく、一般の市民も参加しているという。

それに、なんといっても講師であるフレンケル教授は、「数学の美しさは、きっとみんなにわかってもらえる」という信念の持ち主なのだ。楽譜の読めない人だって、すばらしい音楽には胸を揺さぶられる。油絵なんてただの一度も描いたことがない人だって、ゴッホの「月星夜」の前に立てば、その不思議な迫力に心を捕まれるのではないだろうか。それと同じように、数学の美しさとパワーは、きっとみんなに感じてもらえる、と彼は信じているのだ。

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