受験生にとって、魅力の大きい大学・学部はどこか――。
今回ランキングに使用した「難易度」の指標は、合格者の偏差値を基に算出されるため、難易度アップ=優秀な受験生が増えたことを意味する。そうした大学を10年前との難易度比較から検証した。
“マグロ効果”で近大上昇、都心移転の効果も発現
結果を見ると3校が12・5ポイントと大きく伸びている。鳥取大・農と東海大・海洋は学部改組の影響が大きい。鳥取大は岐阜大と連携して、より高度な専門教育を行う共同獣医学科を設置、東海大は受験生に人気が高い生物系の海洋生物学科を設置したことによる。近畿大・産業理工は本部の大阪から離れた福岡キャンパスにあるが、「近大マグロ」に代表される研究力や志願者日本一効果で注目され難易度が大幅にアップした。
広島キャンパスにある近畿大・工も7・5ポイントアップ。理工系人気を背景にこの系統は難易度が上昇傾向だ。個別大学の要因を検証すると、玉川大・工は数学教員養成プログラムを設置し教員志望者のニーズに応えている。東京海洋大・海洋工は受験生の人気が高い機械系の海洋電子機械工学科を設置したためだ。
4位の東洋大・国際地域と実践女子大・文はキャンパスの都心移転の影響が大きい。東洋大は群馬の板倉から白山キャンパス(東京・文京区)に、実践女子大は日野(東京・日野市)から渋谷キャンパス(東京・渋谷区)に移転した。11位の中央大・理工と立正大・経済もキャンパス事情が影響。中央大は都心の後楽園キャンパス(東京・文京区)にあり、立正大は品川キャンパス(東京・品川区)を再開発しているのだ。
前出の東京海洋大以外にも、人気が高い学科の新設で学部の難易度が上がった大学がある。昭和女子大・人間文化は、グローバル化社会を見据えて人気が高い国際学科を設置。小学校や幼稚園の教諭を養成する学科を設置した大学には、甲南女子大・人間科学、福岡女学院大・人間関係、比治山大・現代文化がある。医療系では兵庫大・健康科学、北海道文教大・人間科学などが上がった。
大学を取り巻く環境の変化で難易度が上がっているのは夜間部だ。景気低迷が続き、ひとまず就職から進学に切り替えた高校生や安い学費なら進学できると考える志願者が増えたため、日本大・法2部、福岡大・商2部の難易度が上昇している。
18年以降、再び18歳人口の減少が進む。優秀な学生の獲得には受験生にとって魅力ある大学になることが不可欠であり、大学の将来は改革力が左右することになりそうだ。
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