「2045年」は、私たちの選択により築かれる

テクノロジーの進化をどう捉えるべきか

第5回「人間のフロンティアはどこまで広がるのか」より。火星への移住は実現するのか?©Mars One
5回シリーズで放送予定のNHKスペシャル「ネクストワールド 私たちの未来」。進化するテクノロジーによって2045年(30年後)の世界はどのようになっているのだろうか、ビジネス、医療、エンターテインメントなどさまざまな分野においてテクノロジーが果たす役割を切り取っていくシリーズ。同シリーズのプロデューサー、寺園慎一氏に番組の世界観などを聞いた。

 

――これは「テクノロジーが拓く未来」について深く掘り下げた、年初にふさわしい番組だと思います。まず30年後の2045年を展望する番組を作ろうとしたキッカケについて教えてください。

まず、ここに至るまでに作ってきた番組が背景にあります。2010年に仮想現実が広がっていく様子を描いた「世界ゲーム革命」、2012年にはスーパーコンピューター「京」が出たタイミングで「コンピューター革命」という番組を作りました。そして2013年には、福島第一原発事故後、人に役立つロボットとは何か、についてまとめた「ロボット革命」を制作しました。

怖がってばかりいても仕方がない

NHKのドキュメンタリーは、啓蒙的なもの、警鐘を鳴らすものが多い。そのため「2045年」という未来をテーマにするならば、そのネガティブな面も含めて検証をしていくのが、ある意味ではNHKらしいともいえるかもしれない。それはNHKのとても大切な役割です。しかし、怖がってばかりいても仕方がない。テクノロジーの進化というものは不可逆のものであり、それを前提として、われわれはどのような心の準備をしなければいけないのか、ということを心がけて作ってきたのが、これらの番組でした。

今回も、基本的に未来をポジティブにとらえています。もちろん、議論を呼ぶようなテクノロジーも出てきますが、ポイントとなるメッセージは「未来を作るのは、今生きている私たちの選択の結果なのだ」ということ。何を選んで何を選ばないか、ということを、視聴者の皆さんが考えるきっかけになればと思います。

――ゴールを「2045年」にしたのはなぜでしょうか。

寺園慎一(てらぞの しんいち) ●1958年生まれ。1982年、NHK入局。岡山放送局、社会情報番組部、NHKエンタープライズなどを経て、現在大型企画開発センター・エグゼクティブ・プロデューサー。これまで「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」「白熱教室」などを手がける。(撮影:大澤 誠)

番組にも登場する未来学者のレイ・カーツワイル博士は、「今から30年後までには、コンピュータの能力が、人類のすべての脳を足し合わせた能力をも超えるようになるだろう」と述べています。これをシンギュラリティ(技術的特異点)と呼んでおり、ここで力関係が逆転する。そこで番組中のドラマも含めて2045年に設定しました。

次ページドラマとドキュメンタリーを組み合わせ
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
  • 御社のオタクを紹介してください
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
船・港――海の経済学<br>ニッポンの生命線が危ない

環境規制の強化によって、日本の海運会社は大きな投資を迫られています。中韓に敗れた日本の造船業界はさらなる再編が不可避に。日本の港湾の競争力低下も止まりません。「海をめぐるグローバル競争」の最前線を掘り下げます。