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ソニーから独立して11年、VAIOが法人PC市場で市場平均を上回る成長を遂げた理由。安曇野工場に集約された競争力の源泉

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  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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「当時、法人向けPCを見渡すと、購買決定権者の情報システム部門向けに機能やセキュリティをアピールする製品はいくらでもあった。しかし、実際に使う人がモチベーション高く働けるPCを作っているメーカーは少なかった。我々はその両方を満足させることを目指した」

設計責任者の林薫氏。「情報システム部門とエンドユーザー、両方を満足させることを目指した」と語る(写真:筆者撮影)

この考え方が効いてきたのは、コロナ禍以降だという。リモートワークが普及する中で、PCは会社と従業員をつなぐ唯一の接点になった。良いPCを支給することで従業員のモチベーションを上げようとする企業が増え、「ちょっといいPC」の選択肢としてVAIOが浮上するケースが増えている。

「ちょっといい」の中身は、たとえばカラーバリエーションだ。法人向けPCは黒かグレーの2色が一般的だが、VAIOはスタンダードモデルで4色を用意している。ディスプレーを開くとキーボードに角度がつくチルトアップヒンジ、手首に負担がかからない薄いパームレストなど、毎日使う道具としての心地よさにこだわっている。

VAIOのスタンダードモデルは4色展開。法人向けPCでは珍しい選択肢の多さが「ちょっといいPC」の選択肢として評価されている(写真:筆者撮影)

リモートワーク時代に評価されているのがAIノイズキャンセリング機能だ。周囲の雑音から人の声だけを分離してオンライン会議に送る。正面の声だけを拾うプライバシーモード、会議室全体の声を均一に届ける会議室モードも搭載し、専用キーで切り替えられる。「この機能がVAIOを選ぶ決め手になった」という法人顧客もいるという。

林氏は「毎朝パソコンを開けた瞬間に、今日も頑張ろうという活力を与えられる存在でありたい」と語る。業務用パソコンであっても、使う人の気持ちを考える。その姿勢が、情シスとエンドユーザーの両方から支持される理由になっている。

数百万通りの仕様を「1台ずつ」作り分ける

VAIOの法人向けパソコンは、CPU、メモリ、ストレージなどを顧客が選択できるカスタマイズモデルが中心だ。その組み合わせは数百万通りにのぼる。事前に在庫を積むことは不可能であり、注文が確定してから生産が始まる。

製造方式はベルトコンベアではなく「セル生産」を採用している。1人の作業者が複数の工程を担当する方式で、仕様が1台ごとに異なる製品に柔軟に対応できる。

組立工程では1台ごとに異なる仕様を指示書で管理する。作業者が電動ドライバーでネジを締め、部品を組み付けていく(写真:筆者撮影)

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