仕事柄、身なりにはそれなりに気を使っているし、会話もそつなくこなす。コミュニケーション能力も高いため、周囲は彼女がゴミ屋敷に住んでいるとは思わないだろう。ゆえに「助けて」と誰にも言えない環境ができあがってしまった可能性もある。
「片付け」は自分と向き合う第一歩
「どうしよう、どうしよう」と、あれだけ住人の女性がパニックに陥っていた現場だったが、スタッフ3名による片付けは、わずか1時間半で終了した。モノが積み上がっていたわけでも、ゴミが踏み固められていたわけでもないこの現場は、イーブイにとっては「軽い作業」だった。
積み上がっていたコンビニ弁当の山が消え、床が見えるようになると、部屋は見違えるように広くなった。依頼通りの「生活感を残した」家具配置により、これならいつ親が訪ねてきても不自然には思われないだろう。
作業中、二見氏はゴミの中からプリクラや学生時代の写真を見つけ、依頼者に確認をとった。「捨てていい」と言われていたものだが、あえて残すことにしたという。
「今日の片付けはやっぱり感情が入ります。僕も彼女くらいの年齢の娘がいてもおかしくない歳ですから。あれだけパニックになって、勇気を振り絞って電話をしてきた姿を見ると、何かしてあげたいなと思うんです。
人間、他人を批判するのは簡単です。でも、自分の非を認めて謝ったり、向き合ったりするのはすごく勇気のいることです。彼女は自分と向き合おうとしていました。そういう姿勢って、僕は評価されるべきことだと思うんです」
清掃を終え、綺麗になった部屋を見た依頼者は、安堵の表情を浮かべていた。胸を撫でおろしたその姿は、1つの呪縛から解放されたようでもあった。
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