「リビングで『よっこいしょ』と座ったら、もうそこから動かない。そのまま寝てしまう。そうすると、自分の周りに使用頻度の高いモノを置き始めます。そして、周りにゴミを捨て始める。そうやって生活圏が縮小し、ゴミに埋もれた生活になっていくんです」
その結果、綺麗な部屋を残したまま、1階だけが機能不全に陥るという現象が起きていた。
稼いでいるのに「お金がない」若者たち
「水商売」に従事している依頼者の女性は、収入自体は同年代の平均よりも高いはずだ。しかし、清掃費用の支払いに関しては「分割」を希望するなど、金銭的には余裕がなかった。
これは彼女に限った話ではない。二見氏によると、親に隠れて片付けを依頼する若い世代には、ある共通した金銭事情があるという。
「生活が困窮しているわけではないんです。仕事もしているし、いいものも持っている。でも、現金がない。浪費癖があるケースが多いですね。
親に頼れば解決する金額でも、なかなか頼ろうとはしません。これまでお金を借りてきた経緯もあって、もう頼れなくなっているケースもあるかと思います。ギリギリまで自分で抱え込んで、どうしようもなくなってから連絡してくる方が多いです」
今回の依頼者も、明るく、ハキハキとした性格の女性だったという。「ゴミ屋敷の住人=精神的に塞ぎ込んでいる」というイメージは、現場の実態とは必ずしも一致しない。
「うつ病とか、何か深く悩んで病んでいるという感じではありませんでした。めちゃくちゃ明るい女の子です。ただ単に、優先順位が『家のこと』に向いていないだけ。出稼ぎで家を空けることが多く、ゴミ出しの曜日とスケジュールが合わない。そんな物理的な理由も重なって、なし崩し的にこうなってしまったのでしょう」



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら