「ここは今年で38年目なんですけど、最初の1年くらいは喫茶店だったんですよ。でもね、ドトールさんとかができてねぇ、うちは珈琲一杯350円で出してたんだけど、ドトールは150円。こりゃ敵わないなって思って、スナックに衣替えしたんです」(伊藤さん)
既述の通り、祖師ヶ谷大蔵は円谷プロダクションの本部があった土地だ。他にも東宝の撮影所などもあり、映画、芸能の街でもあった。
東宝さんや円谷さんに支えてもらった
「オープンからしばらくは東宝さんや円谷さんに支えてもらった感じね。当時はカメラマンで映画監督でもある木村大作さんとか、映画界の錚々たる人たちが毎日のように来てくれていました」(伊藤さん)
円谷英二の孫で俳優の円谷浩が、短い間だが若い頃にバーテンダーとして店に出ていたこともあるという。ここで名前を出すことはできないが、今でも映画やドラマで活躍する俳優が足繁く飲みに来る。
「この街のいいところは、庶民派なところね。お隣の成城学園はちょっとハイソでしょ。成城石井みたいなお高めの店はあるけど、庶民派には逆に不便だったりもするんですよ。あと、あちらにはうちみたいなスナックも少ない。だからわざわざ祖師ヶ谷大蔵に来てくれる人も多いんですね」(伊藤さん)
昼は買い物や飲食、夜はスナックを含む小規模店舗が利用される。生活者の行動パターンが複数の業態を支え、その結果として商店街の持続性が保たれている。祖師ヶ谷大蔵はそんな街だ。新宿との距離、商店街の規模、店舗の密度。いずれも極端ではなく、生活圏としてのバランスが取れているように思う。そんな「ちょうどいい感じ」が祖師ヶ谷大蔵の住むとちょっといいところだ。
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