こうしてこの最初の情報伝達者はすべての生物に共通の祖先になった。
論理的必然によってその存在を認めざるを得ない最初の共通祖先をLUA(Last Universal Ancestor)またはLUCA(Last Universal Common Ancestor)という。
原始の地球でどうやって生命が誕生したのかについては多くの仮説があるけれど、まだ詳しくはわかっていない。
その理由は、生命のはじまりに関する議論の中には、単純な「根拠」の問題だけではなく、「生命とは何なのか」という哲学的な問題も含まれているからだ。
生命誕生のカギは有機物発生のプロセス
生命のはじまり――。これについて語るのは、とても難しいことだ。
僕たちにとっては最初の生命についてはもちろん、いまこの世界に生まれてくる生物がどうやって生命を得たのか語ることすら難しい。
僕たちは、生命と生物についてあまりにも多くの質問を抱えている。
何が生物で、何が無生物なのか。
生命は自然発生するのか、それとも必ず親から生まれてくるのか。
親から生まれてくるなら、生命のはじまりは受精の前からなのか、後からなのか。
生命とはいったい何なのかについて、僕たちが自信を持てる根拠はあまりない。
もちろんこの難しい問題に答えようとする努力がなかったわけではない。
多くの科学者がこの問題に興味を示して、有機物から生命のはじまりの手がかりを探そうと試みた。これを「化学進化説」という。
この理論のもとには、すべての生物が生きるためにはタンパク質や核酸などの有機物が必要で、また生命活動の過程で有機物を生産するという事実がある。
多くの生物学者は最初の有機物がどうやって発生したのかを解明することが最初の生命に関する秘密を解くカギだと信じていた。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら