沖縄の東大合格者が少ないのは「所得水準が低いから」ではない? 東京出身には分からない、地方ならではの意外で複雑な"ワケ"

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ーーーは?今、30分とおっしゃいましたか!?こんな問題、東大生でも30分で解き切るのは無理だと思いますよ!?


吉田さん「そうですよね。相当難しいんですよ。
ちなみに私立昭和薬科中学校でも同様でタフな問題が多いです。『11111111×111111111』という9桁の掛け算の計算問題が出ています。」

ーーーなんですかそれは……。

金城さん「難しさの質が全然違うんですよ。もちろん多様な試験が出題されることはとてもいいことですし、特色のある入試が出題されること自体は悪いことだとは思いません。しかし、選択肢がそもそもかなり少ないですからね」



ーーーそうですね。東京の中学入試の問題でこういう問題が出題されていてもそういう中学もあるよね、という感じだと思いますが、選択肢が狭い沖縄の中学入試として適切かどうかは、僕個人としては疑義があるように感じますね。

吉田さん「とは言え、中学受験で圧倒的学習量を課せられるのはいいことだと思っています。強いエンジンを持つことになり、その後の学習のベースを作ることになるとも考えています。まあちょっと難し過ぎる気もしますが」

ーーーこういう状況の中で、ガゼットさんとしてはどのような声掛けを親御さんにされていますか?

金城さん「失敗してもいいから、早期からのスタートで経験値を上げていくのが重要だと考えています。先ほど吉田からもありましたが、中学受験で圧倒的学習量を課せられるのはその後の勉強においてどうあれいい影響があると思います」

吉田さん「その上で、お子さんの可能性を信じてもらいたいなと思っています。自分は大阪出身ですが、大阪の小中学生と比べて、沖縄の子どもたちの学習量が少ないと感じることはほとんどないです。すごく頑張っている生徒も多いし、学力的にも目を見張るものがある生徒も多いと感じます。

それなのに東大合格者が少ない都道府県になっているというのは、親御さんや周りの大人が、その生徒のことを信じてあげられていないからなのではないかと思っています。もっと可能性を信じてあげてほしいですね」

学習受験社ガゼットの金城本部長と吉田社長
学習受験社ガゼットの金城本部長と吉田社長(写真:筆者撮影)

沖縄県の東大合格者数の少なさは、学力の問題ではない

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沖縄県の東大合格者数の少なさは、単なる「学力の問題」ではなく、県外志向の弱さ・交通の制約・進学構造の偏り・評価制度の特徴など、いくつもの要因が絡み合った結果だといえます。

それでも、ガゼットの吉田さん・金城さんの言葉からは、「子どもたちには十分な力がある」という確信が感じられました。

今後、教育の現場と家庭の意識が変われば、沖縄から全国に羽ばたく東大生がもっと増える日も、そう遠くないはずです。

受験勉強や、子どもへの教育など、西岡壱誠さんへの質問を募集しています。こちらの応募フォームからご応募ください。
西岡 壱誠 ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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