「熟年離婚が怖い」「子どもに嫌われる」60代男性の悩み。パートナーや子どもに依存しないで生きるには?精神科医・和田秀樹氏の処方箋

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親子関係で問題が起きたとき、まずはお互いに独立した個人であることを尊重する視点を持ってほしいですね。

親は、子どもが幼いうちは扶養の義務があり、子が自分の人生を歩めるようサポートが必要ですが、しかるべき時期にはしっかりその手を離すことも大切です。

嫌われてしまったなら、それも仕方がないこと。日本では親子間の境界線があいまいなために忘れられがちですが、親子であっても、相手の気持ちを変えることはできません。変えられるのは自分の行動だけです。

子どもが成人したら、もう親の役目は終わり。別々の人生だと考えたほうが、お互いに楽ですよ。

「子どもに財産は残すな」の理由

何かをしてあげたいのであれば、たとえばお孫さんのお祝いごとなどのタイミングで、気持ちを伝えるのは自由です。その場合も、あまり重くならずに、拒否されても仕方ない、くらいの感覚でいたいですね。

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「好かれたい」だとか、「お礼の連絡がほしい」といった見返りを求める気持ちが少しでもある場合は、何もしないほうがましです。「老後の面倒を見てほしい」は論外ですよ。そういう下心を持って接すると、間違いなく関係が悪化します。

また、私は常々「子どもに財産は残すな」「自分で稼いだお金は、自分で使い切って死んでいきましょう」と言っています。

もともと「親と子の人生は別」という考え方でしたが、富裕層の高齢の患者さんが亡くなられたあとの、醜い財産争いをさんざん目のあたりにしてきて、間違っていなかった、と確信するにいたりました。

逆に、親子でべったりと仲が良い家族のほうが危うさを覚えます。親が子どもを積極的に手助けし続けることで、子どもが自立することを難しくしてしまうことがありますから。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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