「親ガチャに外れた」と嘆く若者が、転生小説『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』に惹かれる本当の理由

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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』公式サイトより
現代の若者が抱える「努力しても報われない」という葛藤。その思いを代弁するように、タイムスリップを経て成長する主人公・百合の物語が描かれる『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。戦争という過酷な時代を経験することで、彼女は平穏な現代の価値に気づいていきます。若者が「転生もの」になぜ惹かれるのか、何を求めているのか、文芸評論家の三宅香帆氏が解説します。
※本稿は『考察する若者たち』より一部を抜粋・再構成したものです。

中学・高校生の間で読まれている『あの花』

2023年に映画が公開され、小説はシリーズ累計発行部数150万部を突破した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(以下『あの花』)。

私はたまに地方の中学高校に読書感想文出張講座へ行くのだが、「最近、朝の読書の時間に読んで面白かった本はある?」「好きな本か漫画はある?」と聞くと、いつも名前が挙がる本が『変な家』か『あの花』なのである。これが100万部超えの凄みかといつも思う。

そんな小説『あの花』は、中学生の加納百合が、第二次世界大戦末期にタイムスリップしてしまい、そこで出会った特攻隊員・佐久間彰に恋をする物語である。

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