「マラソンはNG」"歩き"こそ腎臓寿命を延ばす"特効薬"→息切れしないレベルで高い効果を発揮する「腎活性ウォーキング」のすすめ

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次に「どれくらいの強度で歩けばいいのか」です。

腎活性ウォーキングでは「息が切れるか切れないかというレベルの早歩き」を基本としています。

これは、きつすぎもせず、ラクすぎもせず、早歩きをしながら隣の人と何とか話をできるくらいの状態。つまり、腎機能の維持・改善につながる効果を引き出すには、これくらいの運動強度が必要なんですね。

なお、「息切れするかしないか」という感覚的な目安では分かりづらいという方は、心拍数を測って強度の指標にしてください。その目安は「1分間の心拍数が安静時よりも20~30回増える程度」。

市販のスマートウォッチを用いれば、歩いている最中でも腕にパッと目をやるだけで心拍数を確認することができるので、ぜひ入手して活用するといいでしょう。

それと、慢性腎臓病の方の場合、運動強度を引き上げすぎるのは禁物です。ウォーキングのレベルであれば問題はありませんが、激しく息切れをするほど走ったり、マラソンのような長時間にわたる運動をしたりするのは控えるようにしてください。

また、慢性腎臓病で心血管疾患のリスクがある方は、ウォーキングを始める前に主治医に相談して、適切な運動強度を決めてから行ってください。

腎機能だけでなく、活力や体力もよみがえる

私がこれまで診てきた患者さんには、ウォーキングを習慣づけたことで人工透析を回避できた方もたくさんいらっしゃいますし、ウォーキングで腎機能の数値が大きく改善した方もいらっしゃいます。

また、なかにはウォーキングによって腎機能の値を何十年もキープし続けている方もいらっしゃいます。

そうした多くの症例の裏づけもあって、私は「ウォーキングこそは腎臓寿命を引き延ばす“特効薬”である」と確信しています。

しかも、ウォーキングを習慣づけた患者さんには、以前より活発に動けるようになったり趣味や社交の範囲が広がったりして、日々の人生を前向きに楽しめるようになっていく方がとても多いのです。

もしかしたら、ウォーキングには、腎機能をよみがえらせるだけでなく、人間の活力や体力を底上げして人生をよみがえらせていくような力があるのかもしれません。

ですから、みなさんも腎臓リハビリの「腎活性ウォーキング」にトライしてみてください。ウォーキングは、何歳からでも始められて、着実に効果を上げていくことのできる運動です。

ぜひ、日々歩くことによって腎臓寿命を引き延ばし、人生の輝きを取り戻すようにしていきましょう。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長、東北大学大学院障害科学専攻長、同先進統合腎臓科学教授を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2011~2021年日本腎臓リハビリテーション学会理事長、2020より国際腎臓リハビリテーション学会理事長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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