減塩は本当に健康的?日本に蔓延する減塩至上主義の盲点

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「塩化ナトリウム」以外の成分がどれだけ含まれているか、成分表示をチェックすることが重要です。

天然塩は単なる調味料ではなく、「体に巡るミネラルの源」です。点滴に使われるリンゲル液や生理食塩水は、体液や羊水、海水などに含まれるミネラルバランスを参考に設計されています。つまり、塩を自然のままのバランスで摂ることは、私たちの体の設計にもかなっているということ。

「減塩」ではなく、「見直し」を。まずはいつもの塩から変えてみるだけで、きっと体が変わっていくのを感じられるはずです。

減塩は本当に健康?最新研究で読み解く“塩の真実”

「塩は高血圧のもと」と言われてきました。ですが近年、この常識に疑問を投げかける研究が、国内外で相次いで発表されています。

そもそも「減塩=健康」という考え方のルーツは、1950年代のアメリカにさかのぼります。ダール博士が「塩の摂取量が多い地域ほど高血圧の人が多い」と報告し、続いて1972年には、メーネリー博士がラットに人間換算で1日500グラム相当の塩を与えて高血圧を引き起こしたという実験結果が発表されました。この2つの報告が、世界的な減塩政策の流れを決定づけたと言われています。

しかし、現代ではその根拠が徐々に揺らぎつつあります。たとえば1984年、名古屋市立大学の青木久三教授は、「塩を摂っても、体内で適切に排出できれば血圧は上がらない」と主張。さらに1988年にはロンドン大学が世界32カ国を対象に実施した大規模調査「インターソルトスタディ」で、「1日の塩分摂取量が6〜14グラムの範囲では、血圧との明確な相関はない」との結果が報告されました。

また2014年には、アメリカ高血圧学会誌に掲載されたグラウダル博士の研究で、「もっとも健康に良いとされる塩分摂取量」は6.7〜12.6グラムと、従来の基準よりも高めであることが示されています。

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