減塩は本当に健康的?日本に蔓延する減塩至上主義の盲点

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一方で、天然塩には、マグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛など、数十種類のミネラルが自然のバランスで含まれており、代謝や循環、神経伝達を助け、体の機能全体を整える役割を果たしてくれます。

私が普段愛用しているのは「ホッティーの塩」という天然塩(天日塩)です。

監修を務めてくださっている、なちゅみねの中戸川さんも、塩に関しては「精製塩でなければ基本的にOK」というおおらかなスタンスを持っています。自然派の市場ではあまり注目されにくい塩──たとえば「伯方(はかた)の塩」や「赤穂(あこう)の天塩」といった、広く流通している「再生加工塩」の中にも、実は評価されるべき製法や品質があると語っています。

たとえば沖縄の「ぬちまーす」は、100グラムあたりマグネシウム3620ミリグラム、カリウム1140ミリグラム、カルシウム440ミリグラムという圧倒的なミネラル含有量を誇り、「ミネラル14種類含有世界一」としてギネスにも認定されました。「粟國(あぐに)の塩」もまた、豊富なマグネシウムやカリウム、微量元素を含んだ優れた天然塩です。

「精製塩」と「天然塩」体への影響の違い

ただし、ミネラルが多すぎる塩については、一部の自然派の専門家の間で懸念も挙がっています。たとえばぬちまーすや「雪塩」などは、雑味が強く料理の味に影響するため、ラーメン店などからは敬遠されることもあるようです。

また、近年では、硫酸マグネシウムや硫酸カルシウムが腸内環境に悪影響を与えるのではないかという声もあり、「ミネラルが多すぎる塩は、腸内で硫化水素を発生させてしまう」といった意見も見られます。

この点については、早稲田大学などの専門家から反論も出ており、日本人の腸内環境ではそのような毒性ガスは生成されにくいという見解もあります。実際、もし腸内で硫化水素が発生していれば、硫黄のような強い悪臭のガスが頻繁に出るはずですが、そういった症状は一般的ではありません。

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