仕事ができるわけでもないのに人間関係のコントロールだけは巧みな「サイコパス社員」が出世してしまうという、成果主義の残念な末路

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第9章「サイコパスへの対処法」に、利益率を上げすぎない、従業員への対応を良くするなどの経営方針をとるコストコが登場します。

投資家からは「もっと利益を出せるはずだ」と批判されていますが、実際には、長期的な利益につながっていることが証明されているという話です。

日本でも、特にスタートアップに対して同じような課題があります。

ある程度の規模に育ったとき、投資機関がお金を出す代わりに「早く上場しろ」「上場するためには利益を出せ」と求めるようになる。

すると、時間をかけてウェブサービスやアプリなどを開発したくても、すぐに利益が出なければ怒られるということで、受託開発など目の前の利益に手を出すようになってしまいます。

しかし、それでは単なる下請けのIT企業でしかなく、社会に長期的な価値も与えられませんし、大きく成長することもないという所に落ち込んでしまうのです。

このように、短期的利益を求められすぎることで、成長を阻害されてしまうケースはとても多く、長らく問題視され続けています。

サイコパス的なものをもてはやす背景事象の1つと言えるでしょう。

成果主義はサイコパスの温床

2000年頃から、成果主義がもてはやされた時期もありました。

バブルが崩壊して景気が悪くなっていく中で、それまでの雇用のあり方では成長ができない、成果主義を取り入れて競わせなければダメだという話になったのです。

しかし、結果的に成果主義はうまくいかなかった。自分の成果だけを得られれば良いとなると、人と人とが協力しなくなり、人間関係がギクシャクしていくのです。

やはり過剰な成果主義は、サイコパスの温床になると考えられるでしょう。

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