「以前は、夏のお祭りも大晦日の拍子木の音も、『誰かがやっているんだな』程度にしか考えていませんでした。でも親になって『あのお祭りは◯◯ちゃんのお父さんが運営していたのか』など、身近に捉えるようになったんです。そして、だんだん『自分も役に立てるのかな、できることがあるならやりたい』と思うようになりました」
他人事だった行事も「やる側」に
同じマンションの父兄に声をかけられ、有志による親のコミュニティにも参加した。朝は黄色い旗を持って横断歩道に立ち、娘や近所の子どもたちの安全を見守る。大晦日には「火の用心!」と言いながらみんなで夕方の街を回った。そういうことを「やる側」の人間になったのだ。
知り合いが増え、人間関係が広がっていく。育児で知り合った地元の人と、飲み会でぐっと距離が縮まる。「昔は『近所のスーパーで知人に会って挨拶する』ということもなかったので、すごく新鮮です」。
山本さんは、「もしこれが昔の自分だったら、変なこだわりのせいでコミュニティに入らなかったかもしれない」と話す。
「アラフィフの今だからこそ、気負わず参加できるのかもしれません。今では子どもがいる生活を楽しむ側ですが、一方で、同じ社会にはそうではない人たちも暮らしているのだと俯瞰できているのも、ある程度年齢を重ねたおかげだと思います」


















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