45歳で親になって開けた世界、「座って食べなさい」と言えない親心に悩みつつも「昔なら参加しなかった」地元活動に見出した人生の完成形

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「アラフィフ世代の親は少数派ですが、全くいないわけでもないので『アリ』なんじゃないかな。不妊治療のクリニックでも、すでに周りは自分たちより若い人が多かったので、慣れてはいます。とはいえ、娘の校長先生が自分と同じくらいの年齢なのは、ちょっと複雑な気持ちです。自分が子どもの頃は『校長先生=おじいさん、おばあさん』というイメージでしたから」

人生の完成形が輪郭を帯びる年齢

鍼灸師としてダブルワークで働く山本さんは、週に1日休めたらいいほう。貴重な休みは、できる限り家族と一緒に過ごすようにしている。

アラフィフでパパになったら
(写真:山本さん提供)

「娘は今、オリジナルキャラクターを描くのにハマっています。家で過ごすことが多いのですが、親としてはもう少し外遊びもさせたい。そろそろ自転車の練習を始めたいんですけどね(笑)」

娘さんの学校はもうすぐ運動会。両親にダンスの振り付けを見てほしくて、食事の途中でも思わず踊り始めてしまうのだという。

「そこは『座って食べなさい』と言うべきなんだろうけど、楽しそうに踊っているのでつい、見ておこうかな、となってしまったり。しつけは悩ましいですね」と笑う。同じ年頃の子を持つ筆者も心底共感し、思わず笑ってしまった。

娘さんの「やりたい」を第一優先に、山本さんは基本的に見守る。「自分も若い頃はいろいろ試しながら生きてきたので、娘にもできる限りそうさせてあげたい」と語る。

50代に突入し、徐々に自分の人生の完成形が見えてきた。「ようやく自分を認めてもいいかな、という気持ちになってきた気がします。今の自分のままで幸せになれたらいい。そのとき、そばに妻と子どもがいてくれたら。そういう心境です」

お父さんと一緒に艾(もぐさ)を作った思い出。そのお灸でお母さんが癒やされていく。娘さんにとって、艾の匂いはきっと、親子で過ごした幸せな時間を思い出させる香りになるのだろう。

前編:『「子どもを持つ気ない」と離婚した男性が45歳でパパに…4度の流産と急病を乗り越えた鍼灸師が、元バンドマンから転身して手にした奇跡
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宇乃 さや香 フリーライター

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うの さやか / Sayaka Uno

1982年北陸生まれ。大学卒業後、分譲マンション管理会社、フリーペーパー出版社、認知症対応型グループホームでの勤務を経験。妊娠・出産を経てフリーライターとして独立。生き方や価値観のアップデート、軽やかに生きるヒントを模索し、取材を続ける。

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