ケインズの「美人コンテスト」がヒント。「自身も相手もウィンーウィンになる」ビジネスに必要な"思考法"3つのステップ

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答えは、買い手にとってその物件が、自分の「理想」を実現してくれたり、自分にとって「唯一無二の価値」を提供してくれる場合だ。

たとえば、「周囲の環境が自分のライフスタイルにぴったりである」とか、「自分にとって大切な思い出がある立地である」とか、そうした買い手の「主観的な要望」がカギになるのだ。

市場価格とは所詮、多くの買い手にとっての「平均的な価値」を反映したものにすぎない。しかし、買い手が特定の物件に「主観的な価値」を見出した瞬間、その人にとってその物件の価値は、市場価格を上回ることになる。

そんな物件を紹介することができれば、「売り手も買い手も満足する取引」を実現させることができるのだ。

ゆえに、もしあなたが不動産の営業をしているのなら、物件の「客観的なセールスポイント」をやみくもに説明するのは、得策とは言えないだろう。むしろ、買い手がどんな望みを持っていて、どんな条件なら満足してくれるのかを、まずは見抜くこと。

そのうえで、「買い手の主観」に寄り添った提案をしていくことが必要になるのだ。

商品の価値は「誰も同じ」ではない

主観的な価値が重要になるのは、不動産の売買に限った話ではない。たとえば、フリマアプリで行われる取引もそうだ。「メルカリ」などのフリマアプリでは、自分が「いらない」と思ったものを手放し、「欲しい」と思う人と交渉して売買を行うことができる。

仮に、あなたが「古着」を求めているとしよう。

一般的に商品というのは、汚れたり傷がついたりすれば、たちまち価値(値段)が下がる。しかし、「古着好き」のあなたは、むしろその傷や汚れに「価値」を感じている。

そうすると、たとえば古着に興味のない人が「5000円で買ってくれる人がいたら御の字だ」と思って出品した服を、あなたは「1万円を出してでも買いたい」と思うかもしれない。実際に5000円で取引が成立すれば、売り手は「5000円で売れてラッキーだ」と思い、あなたは「お得な買い物ができた」と感じるだろう。

まさに先の不動産売買の例と同じく、「売り手も買い手も満足するような取引」が実現するわけだ。

もちろん、買い手側が、最初に売り手から提示された価格では購入が難しいと感じることもあるだろう。その場合も、両者は双方の主観をすり合わせながら、「これなら取引成立」という合意点を見出すことで、満足のいく売買を行うことになる。

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