ケインズの「美人コンテスト」がヒント。「自身も相手もウィンーウィンになる」ビジネスに必要な"思考法"3つのステップ

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やはりここでも、当人たちが何を求めていて、何に価値を感じるのかという「主観」が大事になるわけだ。

これらの事例を見ていくと、ビジネスでの営業から個人的な取引にいたるまで、「主観と主観のぶつかり合い」が前提にあることがわかる。

異なる主観と主観をすり合わせ、両者が重なる“客観”をつくっていく。こうした考え方やスキルが、「正解のない」これからの時代において、ますます重要になっていくことだろう。

両者が重なる“客観”を作る方法

では、こうしたスキルを身につけるには、どうすればいいのか。その方法を次の3つのステップに分解して説明したい。

1「自分の主観」を理解する

まず必要なのが「自分の主観」を理解することだ。ここをおざなりにしてしまうと、何かの交渉をするにせよ、意思決定をするにせよ、「結局、どうしたかったんだっけ?」ということになりかねない。

この自己理解が苦手だという人は現代人に意外と多く、「自分は何が好きなのか、何がやりたいのかわからない」といった悩みをよく耳にする。

2「相手の主観」を探り当てる

自分の主観と向き合うことができたら、次は「相手の主観」に視点を移そう。相手の主観を探り当てるなんて無理難題のようにも思えるが、方法はある。相手についてなんらかの「仮説」を立て、適切な情報収集や質問を行うことによって、このステップはクリアできるだろう。

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3「自分と相手の主観」をぶつけ合い、“客観”(主観が重なる部分)をつくる

そして最後が「相手との主観のぶつけ合い」だ。ここまできてようやく、互いに納得のいく合意点を見つけ、取引や問題解決に踏み込むことができる。

ここでは、いかに自分の主観をうまく伝えるかというアウトプットの技術が要求される。

この主観を起点とした思考法は、はじめのうちはなかなか慣れないかもしれない。それでもこの3つのステップを、少しずつでもいいから試してみてほしい。

ビジネスでも日常生活でも、きっと「ロジカルに考えているだけでは見えてこなかった景色」が、見えるようになるはずだ。

内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授

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うちだ かずなり / Kazunari Uchida

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。日本航空株式会社を経て、ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。2006年度には「世界の有力コンサルタント25人」に選出。
2006年から2022年3月まで早稲田大学教授。早稲田大学ビジネススクールでは意思決定論、競争戦略論、リーダーシップ論を教えるかたわら、エグゼクティブプログラムにも力を入れる。
主な著書に、『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『アウトプット思考』(PHP研究所)、『できるリーダーが意思決定の前に考えること』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー・ロングセラーが多数ある。

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