ケインズの「美人コンテスト」がヒント。「自身も相手もウィンーウィンになる」ビジネスに必要な"思考法"3つのステップ
美人コンテストとは、100枚の写真の中から各人が「最も容貌が美しいと思う女性」の写真6枚を選び、それが実際の投票結果とどれだけ一致するかを競う、ゲームのようなものである。
このゲームのポイントは、投票者は「自分が美人だと思う人」ではなく、「みなが美人だと思うであろう人」を選ばなくてはならないところにある。つまり、自分の好みや美的センスといった「主観」は極力排除し、「他者の投票行動を予測する能力」が求められるわけだ。
これまでのビジネスで求められてきたのは、この美人コンテストのような、「みなが求める理想の平均値」を見定めるスキルだったのではないかと思う。
みなが同じものを欲しがり、同じようなことに価値を見出す世界であれば、そうした「最大公約数」を狙いにいくようなマーケティングは、確かに有効だろう。
一方で、こうしたマスマーケティングではなく、消費者の「個別のニーズ」に応えるようなマーケティングや、人間同士でやり取りを行う交渉・取引などの場合はどうだろうか。
この場合は、最大公約数的な答えよりも、その時どきの相手や状況に応じた「個別解」のほうが求められる。要するに「目の前の相手がどんなことを望んでいるか」という「主観」にフォーカスしなければならないのだ。
「売り手」も「買い手」も満足?
交渉でも取引でもプレゼンテーションでも、「目の前の相手が何を望んでいるか」を見極め、そこに対して適切なアプローチができる人は、さまざまな場面で結果を出すことができる。
たとえば不動産売買において、どんな条件のときに顧客が満足するか、あなたはわかるだろうか?
通常、不動産取引では、売り手は「できるだけ高く売りたい」と考え、買い手は「できるだけ安く買いたい」と考える。両者は相反する要望を持っているため、基本的にはどちらかが“折れる”しかない。
この「できるだけ」の基準となるのが、「市場価格」という指標だ。一般論からすれば、買い手は市場価格より安く買うことができれば満足で、そうでない場合は不満を感じるだろう。
けれども現実には、市場価格より高い金額で不動産を購入したとしても、買い手が非常に満足するケースがあるのだ。
それは一体、どういう場合だろうか? 実際にあなたが不動産を買うときのことを想像しながら、考えてみてほしい。





 
         
         
         
        
       
           
           
          
         
          
         
         
         
         
        












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