父は総合病院の副院長…医学部3浪で「うつ」状態の彼の部屋に訪問者「手に5000円を握りしめさせて…」人生救った思いがけない言葉とは

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うつを乗り越えて、悲壮感の消えたこの年の受験で、平さんは「3浪でダメだったら、4浪をしてでも精神科医になろう」と本当に自分のやりたいことを意識できるようになったそうです。

3浪目のセンター試験は680/900点と、前年より下がったものの、またしても秋田大学医学部に出願します。実はこの年の受験では大きな変化が起きていたようで、それも平さんにとっては大きな転換点した。

秋田大学の試験で起きた2つの奇跡

「実は秋田大学は医学部の再受験生の受験が多い大学だと知られていました。それは、選択科目が英語・理科の2科目で受験ができたからです。僕は数学が苦手だったのでB日程で秋田大学を受けていたのですが、この年から秋田大は、前期・後期受験に変更、さらに受験科目を英語と数学にするという発表があり、不安になりました。ただ、その発表があったのがうつを乗り越えた後だったので、逆に『やってやろう』という気持ちになって、今までほぼ手をつけなかった微分・積分や確率統計などをやるようになりました」

3浪目で慌てて勉強しだした数学の成績はあまり上がらなかったそうです。しかし、数学が必須科目になったことで、再受験生たちが秋田大の受験を避ける動きが起きたそうです。例年8倍前後だった倍率は変動し、3.8倍になるという奇跡が起きました。

そして問題を解いているときに、もう一つの奇跡が起こったそうです。

「秋田大学の数学は、1題ごとに50点の大問が4題で、合計200点満点でした。僕は2題しかわからなくて、これはダメだと思ったのですが、わからないと思っていた確率統計の問題が、サイコロを3つふって出る確率を求める問題だったのが救われました。時間はかかりますが、問題用紙の裏側に考えられる216通りを全て書いて正解を求めたんです。それがないと受かっていないと思います(笑)」

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