「生き方を変えてしまうことも」子を無意識に縛る"呪いの言葉"ー 「お母さん、本当は医者になりたかった」「私も走るのは得意じゃなかった」

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10代の子どもの心の守りかた
子どもと接するときに、ぜひ意識して伝えてほしいのが、「存在価値」という視点です(写真:buritora/PIXTA)
「あの子、最近なんか元気ないな」「いつも学校であったことを話してくれていたのに、ほとんど口をきいてくれない」――。子どもの小さな違和感に、胸がざわつくことはありませんか。
「思春期の子どもたちは、心の内をうまく言葉にできません。でも、言葉にしないからといって、何も感じていないわけではないのです」と言うのは、3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラー普川くみ子さんです。10代の子どもたちの沈黙の奥に隠された「声なき心」を私たち親がどうやって感じ、受け止め、寄り添っていけばいいのでしょうか。普川さんの新著『10代の子どもの心の守りかた』を一部抜粋しお届けします。
「あなたがいてくれて幸せだよ」と言葉で伝える
――「いてくれてありがとう」のひと言が子どもを強くする

子どもをほめるとき、つい「できたこと」「頑張ったこと」「結果が出たこと」ばかりに注目してしまいがちです。

もちろん、それらを認めるのは大切です。でも、より意識してほしいのは、そうした「できたこと」だけに偏らないことです。

何かができたときだけ認められ、それ以外のときは価値がないと思われているように感じる。頑張っているのに結果が出ないときが続くと、自分をダメな存在だと思ってしまう。

「役に立てない自分」には意味がないように感じてしまう。

これは、大人でもつらいことです。成長途中の子どもにとっては、自己肯定感や挑戦する意欲そのものを傷つけてしまうかもしれません。

そこでぜひ意識して伝えてほしいのが、「存在価値」という視点です。

「できたこと」ばかりほめる危うさ

「存在価値」とは、読んで字のごとく「そこに存在するだけで、価値がある」という意味です。結果がどうであれ、何かができていようといまいと、その人の存在そのものに価値を見出すことです。

これに対し、一般的に私たちが日常的に使っているほめ言葉の多くは、「機能価値」を認める言葉にあたります。

たとえば、「100点取れてすごいね」「大会で優勝して立派だったね」「いちばん早く走れてすごいね」こうした言葉は機能、つまり成果や能力を認めるもので、大切な言葉がけです。頑張りの結果をきちんと評価することは、子どもの自信につながります。

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