「生き方を変えてしまうことも」子を無意識に縛る"呪いの言葉"ー 「お母さん、本当は医者になりたかった」「私も走るのは得意じゃなかった」

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気をつけたいのは、そればかりになってしまわないことです。「機能価値」だけを注目され続けた子どもは、知らず知らずのうちに、こう考えるようになります。

「○○ができるから愛されているんだ」「頑張って結果を出したから認めてもらえるんだ」

こうした思いは結果が出なかったとき、自分の価値を揺らがせてしまいます。

一方で、「あなたがいてくれることが嬉しい」「あなたの笑顔を見ると、ホッとする」そんなふうに、「何もしていないときの自分も認めてもらえている」と感じられる子どもは、どんな状況でも自分に価値があると信じることができます。

結果を出せなかったときも、うまくいかないときも、「大丈夫。次はきっとうまくいく」という安心感が、次の挑戦への原動力になるのです。

「あなたがいてくれるだけで嬉しい」を伝えよう

とはいえ、存在価値を伝えるなんて、なんだか大げさで気恥ずかしい……と思うかもしれません。でも大丈夫。特別な言葉をかける必要はないのです。たとえば、

「あなたが帰ってくると、なんだか家が明るくなるね」
「最近疲れ気味だから、あなたの朝の『おはよう』に元気をもらっているよ」

できればちょっとしたユーモアを交えながら、

「毎日いろいろやってくれて手がかかるけど、おかげで退屈しないよ」
「最近、生きがいってやつを感じてるんだけど、たぶんあなたのせいだね〜」

そんなふうに、かしこまりすぎず、何気ない日常会話の中で気持ちを伝えてあげてください。存在価値を日常的に感じている子どもは、機能価値を認められたときも、プレッシャーではなく「励まし」として受け取ることができます。

「できること」「できたこと」だけではなく、「いてくれること」「かかわってくれること」に価値を見つけ、言葉で本人に伝えていく。そんなまなざしを、子どもと接する毎日の中で、少しずつ意識してみてください。

子どもは、自分を無条件に受け入れてくれる親のまなざしの中でこそ、自分を信じ、自分の力で歩き出す力を育んでいくのです。

子どもを無意識のうちに縛る「呪いの言葉」を封印する
――軽い気持ちのひと言が子どもの未来を縛る

子どもは思いがけないところで、親の言葉に縛られてしまうことがあります。

たとえば私は、10歳頃の娘が「どうして私は走るのが遅いんだろう」と悩んでいたとき、軽い気持ちで「私の子だからね。私も走るのは得意じゃなかったんだよ」と言ってしまったことがありました。

言った直後、私は自分の軽率さに気づきました。

この一言が、娘に「じゃあ、私も速く走れないのか」と思わせ、挑戦をあきらめるきっかけになるかもしれない。そんな思いから、すぐにこう付け加えました。

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