佐藤:「野犬に唇のあたりを舐められたのでワクチンを打ってください」
先生:「咬まれたわけではないのね?」
佐藤:「はい」
先生:「じゃあ破傷風のワクチンはいらないわね。大丈夫。ちゃんとワクチンを打てばほぼ100%発症を防ぐことができるから。帰国は明日? じゃあ日本であと4回、WHOの基準に従ってワクチンを打ってください。摂取スケジュールは今日を起点に3日後、7日後、14日後、28日後です。注射後は20分くらいロビーで過ごして、異変を感じたときは声をかけてね。大丈夫ならそのまま帰っていいから」
佐藤:「ありがとうございます!!」
先生:「あ、ジョージアのワインがおいしいことはもう知ってると思うけど、今日はお酒を飲んだらダメだからね。明日以降も少量にしときなさい」
注射後、私は先生に何度も頭を下げながら「Thank you very much」を伝えた。ちなみにワクチンは1本6000円くらいで、クレカで支払いできた。大きな大きな安心感に包まれながら、私は病院を後にした。


帰国後は関空の検疫に報告を入れた。担当してくれた職員(医師)からは、「みんな咬まれたらヤバイと思って病院に行くけど、君みたいなケースは心の死角になりやすい。たぶん大丈夫だろうと自己判断して、亡くなってしまうケースが世界では何例もある」「男性は髭剃りの傷が顔にあるかもしれない。そこから狂犬病ウイルスが侵入する危険性は十分ある。現地でワクチンを打ったのは正解だったと思うよ」といった貴重な言葉を頂いた。
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残り4回分の狂犬病ワクチンを打つため、私は大阪にあるクリニックに通院した。
先生からは「狂犬病リスク国って死亡者数によって色分けされてるけど、僕個人としては狂犬病に低リスクも高リスクもないと思っているんだ。なぜなら狂犬病は一度発症したらほぼ100%助からないから。色分けすることで“心の油断”を生んでしまう気がするんだよね」といった貴重な言葉を頂いた。

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