飼い犬に「狂犬病ワクチン」、日本でどこまで必要か 海外渡航前に知っておきたい"人間のワクチン"

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狂犬病は日本国内で発生しているのでしょうか? 犬にかまれたらどう対処すべきかも併せて解説します(写真:Satoshi KOHNO/PIXTA)

先月、群馬県伊勢崎市で飼い犬が小学生を含む12人をかむ事件が発生した。その犬が狂犬病ワクチンを受けていなかったことから狂犬病に感染したのではという不安が拡がったが、幸い、その犬は狂犬病には感染しておらず、事なきを得た。

狂犬病は日本国内で発生しているのだろうか? 犬にかまれたらどう対処すべきか、解説する。

犬の登録制は狂犬病との闘いの名残

日本国内においては、犬を飼ったら居住地の自治体に登録し、飼い主は狂犬病の予防接種を受けさせる義務がある。これは、狂犬病をコントロールするための狂犬病予防法という法律によって定められている。しかし、日本国内では狂犬病は長らく発生しておらず、登録やワクチン接種の目的は人々の意識から薄れ、実施率が低下している。

狂犬病は狂犬病ウイルスによって媒介される感染症であり、人を含む哺乳動物すべてが感染しうる。人への狂犬病感染の9割以上は犬にかまれることが原因だ。日本国内での狂犬病の報告は1957年が最後で、その後は海外で動物にかまれて感染し、日本滞在中に発病した輸入感染の事例が複数報告されている。

狂犬病ウイルスは感染した動物の唾液に含まれ、かみ傷に付着したウイルスは体内に侵入し、近くの神経細胞の中に入り込む。神経細胞は長い紐状であり、ウイルスはその中を進んで脊髄を経由し、脳に達する。感染から発病までの潜伏期間は1カ月未満のことが多く、かまれた部位が脳に近いほど発病が早い。中には1年以上経ってから発病するケースもあり、感染のおそれがある場合は、発病しないようキッチリ対策しなければならない。

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