そのほか、ストレスや睡眠時間とも関わりが深いという。
「ストレスによって分泌されるストレスホルモン(コルチゾール)が過剰になると、慢性的な高血糖につながります。治療の際に血糖値を24時間モニタリングしていると、平日は血糖値が高く、休日が低い患者さんがいます。平日は、仕事や人間関係のストレスで血糖値に差が出るのかもしれません」(矢野医師)
睡眠時間と糖尿病の関係については、睡眠時間が7時間前後の人と比べて、5時間未満、あるいは8~9時間を超える人は糖尿病の発症リスクが高いといった研究報告がある。
5時間未満の明らかな睡眠不足は、ストレスホルモンの影響が考えられるが、8~9時間を超える人は、活動量の低下が高血糖につながっていると考えられている。
健診結果が正常でも糖尿病に?
これまで述べたような要因がある人は、太っていなくても糖尿病の発症リスクが高いということになる。糖尿病は進行するとさまざまな合併症が出現するが、初期には自覚症状がないため、気づかぬうちに進行しやすいのが怖い点だ。
一般的な健診で測定する血糖値は空腹時の値で、以下だと糖尿病が疑われる。
■ヘモグロビンA1c 6.5%以上
しかし、矢野医師は「空腹時血糖値が正常でも、食後血糖値が高い人は意外と多く、糖尿病を発症している可能性がある」と話す。
食後は誰でも血糖値が上昇するが、インスリンの働きによって1時間くらい経つと血糖値が下がり始め、約2時間後には正常に戻る。一方、食後高血糖の人は、食後1~2時間で血糖値が急上昇する。
食後高血糖のサインとして、“血糖スパイク”がある。食後に血糖値が急上昇することでインスリンが過剰に分泌され、その影響で血糖値が急降下する現象のことだ。
「血糖スパイクの症状としてよく患者さんが訴えるのは、食後30分くらいから強烈な眠気に襲われ、1~2時間くらい経つとだるくて動けなくなるといった症状です」と矢野医師。冷や汗をかく、指が震えるといった症状を訴える患者さんもいるそうだ。