「糖尿病で受診される半数以上の患者さんが、BMIでいうと21~23くらいの標準体重です。糖尿病は40代くらいから発症しやすくなりますが、最近は20~30代で太っていないのに糖尿病を発症する患者さんが増えています」(矢野医師)
なぜ太っていないのに糖尿病を発症するのか。矢野医師は、3つの要因を挙げる。
要因1:筋肉量の不足
最も多いのが、筋肉量の不足だ。
「比較的女性に多いのですが、無理なダイエットをして体重とともに筋肉量も落ちてしまっているようなケースです。ブドウ糖はインスリンの働きによって筋肉中に取り込まれますが、筋肉量が少なければ取り込まれるブドウ糖は少なくなりますし、筋肉中に蓄えておく能力も低下します」(矢野医師)
その結果、ブドウ糖が血液中に残り、血糖値が高くなるというわけだ。
日本人の約3割「脂肪肝」もリスク
要因2:脂肪肝
次に多いのが、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した「脂肪肝」だ。
日本人の3人に1人は発症しているという報告もある。肥満や酒の飲みすぎが原因になるだけではなく、やせ型で酒を飲んでいなくても、糖質の摂りすぎや運動不足が原因となり、発症する。
「肥満の人と同様、脂肪肝があると脂肪細胞から分泌される炎症物質により、インスリンの効きが悪くなり、血液中にブドウ糖があふれ出るようになります。脂肪肝は腹部の超音波検査などで見つかりますが、健診の血液検査で肝機能の数値が悪い人は注意が必要です」(矢野医師)
要因3:体質的な問題
3つ目の要因が、遺伝的な理由などによって体質的にインスリンの分泌が少ないケースだ。家族に糖尿病の人がいる場合に当てはまりやすい。
矢野医師によると、現在のところ特定の遺伝子が明らかになっているわけではないが、遺伝的に血糖値が上がりやすい体質を受け継いでいることがあるそうだ。
「体質的な要因に加えて、糖質中心の生活を送っていると、早ければ10代で糖尿病を発症する人もいます。特に親が糖尿病だと、子どものころから血糖値が上がりやすい食生活になっている可能性もあるので要注意です」(矢野医師)