なぜ「GDP過去最高」でも生活は苦しいのか? "見せかけ好景気"を生み出す日本の大問題

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通勤風景
2024年、日本のGDPは過去最高を記録した。一方で、街では「景気がよくなった実感はまるでない」という声が聞こえてくる(写真:bee/PIXTA)
日経平均株価は高値で推移し、2024年のGDPは過去最高だった日本。にもかかわらず、多くの国民の生活が苦しいままなのはなぜなのでしょうか。本稿では『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』より一部抜粋のうえ、お金が回っていても生活が楽にならない、ボトルネックの正体を解説します。

経済を回せない巨大ピラミッドの罠

「お金さえあれば、欲しいものを手に入れられる」

そんな時代が確かにあった。だからこそ、これまでの経済対策は、「お金を回すこと」を重視してきた。政府が巨額の資金を公共事業に投じれば、その資金が労働者の賃金となり、消費を生み、新たな雇用につながる。そんな好循環が信じられてきたのだ。

たとえプロジェクト自体が無駄に見えても、「お金が回ればいい」と考えられていた。重要なのは「何に使うか」ではなく、「どれだけ使うか」。経済効果やGDPという数字が、その考えを裏付ける指標としてもてはやされた。

しかし、この考えの前提にあるのは、ヒトもモノも豊富に存在していることだ。ヒトが経済の制約になると、どうなるだろうか?

仮に政府が1兆円を投じて巨大なピラミッドを建設するとしよう。資金はある。だが、人手が足りない。

当然、人材の奪い合いが起き、人件費は跳ね上がる。当初の予算1兆円は1.5兆円、さらに2兆円へとふくれ上がるかもしれない。それでも、旧来の価値観に染まった評論家たちは「経済効果が2倍になった」と称賛するだろう。しかし、本当にそれでいいのだろうか?

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