なぜ「GDP過去最高」でも生活は苦しいのか? "見せかけ好景気"を生み出す日本の大問題
こうした状況のなかで、新しい経済政策や公共事業に求められるのは、限られた人手と資源をどう効率よく使うかという視点だ。
たとえば、1兆円を人々に行き渡らせたいなら、巨大な建造物を作るよりも、直接給付などの、「人手を無駄にしない仕組み」を優先した方がいいだろう。
それでもなお、「経済を回すためにお金を使いたい」と考える人には、寄付という選択肢を勧めたい。自分の大切なお金を、本当に必要とする分野に届けることができれば、それは社会全体の豊かさにもつながるはずだ。
もったいないのは何か?
私たちの日常生活においても、お金を節約するだけでなく、「人手を節約する」という意識が求められている。
宅配便の再配達を減らせば、街を走る配達員の負担が軽くなる。その小さな気遣いが積み重なれば、節約できた労力を他の大切な仕事に振り向けることができる。
学校現場も同じだ。保護者対応を減らし、先生が教育に専念できるようになれば、子どもたちの未来につながる価値を生む。
「お米一粒でも残したら、もったいない」
この昔ながらの教えには、作り手への敬意と感謝が込められている。それは、モノやヒトが制約だった時代の記憶だ。
私たちがお金に縛られてきたのは、心が貧しくなったからではない。長いあいだ、「お金が制約だった時代」を生きてきたからだ。
その時代は今、終わりを告げようとしている。これから私たちが大切にするべきなのは数字ではなく、その向こう側にいる「ヒトの力」ではないだろうか。
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