あまりにも異様…「母が遺した"新品まみれ"のゴミ屋敷」 直面する《壮絶な遺品整理》に、残された家族はどう向き合えばいいのか?

✎ 1〜 ✎ 71 ✎ 72 ✎ 73 ✎ 74
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

物理的な問題以上に深刻なのが、精神的な理由でモノが捨てられないケースだ。

かつてイーブイが作業を担当した現場に、シングルマザーと高校生の息子が暮らしていた団地の1室があった。ある日、母親が仕事から帰宅すると、息子が自ら命を絶っていた。息子の心の変化に気づけなかったことを、母親は深く悔やんだ。

やがて引っ越しが決まり、母親はイーブイに片付けを依頼した。しかし、見積もりの日、息子の部屋を前にした母親は「やっぱり片付けられない」と言い、結局、自分の荷物だけを新居へ運び、元の家を契約し続けたという。

ゴミ屋敷
亡き母が大量に買い込んだ衣類などが一掃され、きれいに片付いた和室(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

故人のモノは、いつ捨てるべきなのか

ゴミ屋敷連載
この連載の一覧はこちら

故人のモノを捨ててしまうと、その人がこの世に生きた証しまで消えてなくなってしまうような気がしてしまう。多くの遺族が、そうした葛藤を抱えている。

「生活や家の中に余裕があるうちは、故人のモノを無理に手放す必要はないと思います。しかし、残した荷物が、いずれご自身の生活を圧迫してくるときが来るかもしれません」

収入と家賃のバランスが取れなくなり、より狭い家に引っ越さなければならなくなる。そんなとき、遺族は業者に依頼をする。それは、自分では下せない決断を、第三者の力で後押ししてほしいという切実な気持ちの表れでもある。

「もし、故人が残したモノが今のあなたの生活を圧迫しているのでなければ、無理に捨てる必要はまったくありません」

そう思うだけで、葛藤を抱えている遺族も少し楽になるはずだ。

ゴミ屋敷
メインで使われていた和室もご覧の通り片付いた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
ゴミ屋敷
キッチンとダイニングの片付けも完了した(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事