「5部相当」のクラブで悪戦苦闘、それでもサッカー元日本代表・今野泰幸が42歳の今も現役を続ける理由

2010年の南アフリカ大会、14年のブラジル大会と2度のワールドカップ(W杯)に出場し、サッカー日本代表として93試合出場・4ゴールという目覚ましい実績を残した今野泰幸。Jリーグでも、コンサドーレ札幌を皮切りに、FC東京、ガンバ大阪、ジュビロ磐田という名門クラブで21年間プレーしてきた。そんな彼は42歳になった今、意外な場所で現役を続けている。
22年1月に今野が関東リーグ1部の南葛SCに移籍するというニュースが流れたとき、多くのサッカー関係者が驚きを覚えた。J1を「1部」とすると「5部」に相当する地域リーグ、しかも当時の練習環境は都内の公園にある人工芝グラウンドだった。一般人の隣でトレーニングに励むというのは、日本サッカー界の最前線をひた走ってきたベテラン選手には想像もつかなかったことだろう。
「生活サイクルも変わったし、人工芝っていうのもあるし、それに慣れるので必死ですね。人工芝だと足首や足の裏が痛くなったりするし、負担も大きい。ボールも跳ねるからコントロールも難しいんで、適応するのにまだまだ時間がかかると思います」
今野は新天地に赴いて3カ月が経過した頃、こんな苦労話を口にしていた。
【インタビュー後編】「セリエAへ行くと考えたら怖さが勝った…」 日本にとどまり続けたサッカー元日本代表・今野泰幸が見せた"充足"と"反省"
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JFL昇格へクラブも今野もギリギリの戦いが続く
あれから3年半が経過し、南葛SCは今季も関東1部で戦っている。22年に同じリーグでしのぎを削っていた栃木シティ・フットボールクラブがJFL(4部相当)、J3と順調に階段を駆け上がり、今季はJ3で旋風を巻き起こす傍ら、南葛は長く足踏みを強いられてきた。
しかし、25年はまだJFL昇格のチャンスが残されている。
9月28日に関東1部・最終節が行われ、南葛SCは同じ東京のライバルである東京ユナイテッドFCと勝ち点1差の2位に終わり、惜しくもリーグ制覇を逃す形となった。だが、仮に1位になっていたとしても、すんなりJFLに上がれないのが難しいところ。11月の全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)で優勝するか、2位になってJFL最下位チームとの入れ替え戦に勝利することが求められるのだ。
南葛SCはその昇格ルートを逃したわけだが、10月に八戸で開催される全国社会人サッカー選手権という敗者復活戦が残されている。この大会で3位以内に入れば、地域CL出場権を得られる。それもまたハードルの高い道のりではあるが、そこを潜り抜けるしか、上のカテゴリーにはい上がる術はない。
まさに“カオス”とも言える茨の道に今野も挑み続けているのだが、最近はベンチ入りしてもピッチに立てていない。その実情を本人はこう説明する。
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