さらに携帯電話が普及したことで、子どもたちも物心つけばパーソナルな携帯端末を持つのが一般的に。すると、電話は基本的に自分に用事がある場合しかかかってきません。画面上で誰からの連絡か瞬時にわかるので、挨拶なしにいきなり話し出すことが可能であるうえ、出るか出ないかも自分の都合で決められるわけです。
それが会社に入った瞬間、誰からかかってくるか、どんな用件か、まったくわからない電話に対応することを求められるのです。緊張はマックスになり、「電話の音が鳴るだけで冷や汗が出る」と訴える人もいます。
このように、そもそも電話というものへの接し方がわれわれ世代と劇的に違う若い世代に対して、新人研修で1回教えたくらいでできるようになれというのは、非常に酷なことなのです。しかもたいていの企業の場合、研修の内容はその企業のルールや最低限のマナーに関するもので、根本的な「電話の出方」を教えるものではないでしょう。
「このくらいわかるだろう」は危険
電話についてはほんの一例。「人としての基礎」と思われていたものが、今ではそうでなくなっていて、新入社員はそれらが身についていない状態で入社してくる……なんてことは、当たり前のように起こります。そのことにいちいち驚いていてはキリがありませんし、同時に、今までの教育指導を見直していく必要も出てくるでしょう。
ポイントは、「より具体的に指導する」こと。「やってみせる」→「真似させる」→「それを修正していく」という細やかなプロセスが必須です。「そんなことまでしている暇はない!」というご意見もあると思いますが、このプロセスを避けてしまえば、その先の教育も立ち行かなくなってしまうのが現実です。
よくある指導のトラブルの例を挙げてみます。
このような時に、「わからないならなぜさっき質問をしなかったの?」と相手を追い詰める上司が非常に多いのですが、これはマズイやり方です。
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