三谷幸喜の作る映画は、どうして面白いのか

フジ映画事業局長、三谷作品の魅力を語る

(C)2015 フジテレビ 東宝

僕が昔に聞いた話だと、映画制作に力を入れるようになったのは、テレビ放送権の話だと聞いています。ある大ヒット洋画の放送権がものすごい高値でつり上がったことがあって。その金額を聞いて、うちの大先輩が「そのおカネがあったら映画が作れるじゃないか」と言って、『南極物語』などを作ったとか。そうすれば劇場でも当たるかもしれないし、テレビで放送もできる。そういったストレートでシンプルな考え方は好きですね。これはあくまで聞いた話なので真相はわからないのですが、とにかく何らかのきっかけで早くから映画制作には携わっていたので、先行者メリットがあるのかなとは思います。

映画製作は社内の理解があってこそ

――フジテレビが映画を手がけるメリットは?

フジテレビの中では、映画というものが財産として浸透しているということが挙げられます。それは映画事業局長としては本当にありがたいこと。それは2つの側面があります。ひとつは制作面です。ドラマの監督やプロデューサーを借りて、映画を作れるということ。『HERO』だって『踊る大捜査線』だってそうです。これって当たり前のことじゃないかと思われがちですが、社内の理解がないと意外に難しいことなんです。ドラマの担当者だって視聴率が取りたいわけだから、「冗談じゃない。そんな時間とおカネがあるなら、ドラマを作ってくれよ」となり得る。でもフジテレビでは映画が財産であるということが浸透しているので、みんなが協力するよと言ってくれる。それがひとつ。

そしてもうひとつは、宣伝です。社内の報道番組、情報番組などと連動したプロモーションができるわけです。みんなが、やはり映画はフジテレビのDNAのひとつだよねと思ってくれているので、宣伝についてもいろんな知恵を出してくれる。社内の理解が深いからこそやれることが多い。長くやってきたメリットだと思いますね。

――特に三谷監督はいろんな番組に出て、宣伝活動を重視しているイメージがあります。

たとえば役者さんだと、クイズやバラエティなどに出ても、アドリブは効かないかもしれない。もともと無理なお願いをしているわけですから。ですが、三谷さんの場合は、自由にやってくださいと言える。彼はバラエティ番組の現場を知っているので、番組側としても歓迎してくれます。彼の方も、出た限りは面白いことを言って楽しませてやろうという気持ちがあるので。彼は役者でもあるので、その辺は特別ですよね。あんな人はいないですよ。

――フジテレビの亀山千広社長は、前映画事業局長ということで、石原さんへの期待も大きいのではないでしょうか。

どうでしょうかね。今だから言いますけど、実はもっと口を出してくると思っていたんです(笑)。まわりからもいろいろと言われました。石原は大変だろうとか、社長が口を出してくるかもしれないなとかいろいろと。でも実際には拍子抜けしてしまうくらいに何も言われていません。本当に自由にやらせてもらっています。

――最後に、働く若い世代にアドバイスを。

これは今の職場に限っていうことですが。制作というのは、自分が好きなことしかできないですね。本当は好きじゃないけど、当たるからやるんだ、というのはウソです。やるべきことの中から、面白みを見つけているということだと思うのです。結局は好きなことしかできないと思った方がいいと若い人には言いたいですね。好きなものをやっていく中で、たまたま時代と合うものがある。世の中こういう感じだからと無理やり合わせてもいいことはひとつもない。僕もそんな時代があって、悩んだときもありましたけど、結局自分の好きなことしかできないのだなと思いました。

自分の好きなことじゃないと、仮にヒットしたとしても何が理由なのかが分からない。でも自分が好きなことなら、どこがお客さんに響いたのかが分かるから、連続してヒットする可能性があるんです。例えば、「三谷幸喜」の本質を変えて、当たるものを書いてくれと言っても意味がない。それはプロデューサーもそういうところがある。三谷さんとこれだけ長くやってきたのも、彼の書くものが好きだからです。つまり、ずっとアマチュアとしてやってきたんですかね(笑)。それができたというのは幸せだったとは思います。

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