東京国際映画祭には、大きな「弱点」がある

トップが語る「2020年に向けてやるべきこと」

東京国際映画祭は今年で30年という節目の年を迎える(撮影:梅谷 秀司)
1985年に始まった東京国際映画祭(TIFF)は、今年で30年という節目の年を迎える。アジア最大級の映画祭として、日本の映画を海外に発信する場として、日本映画の多様な作品群を紹介するとともに、日本の強力なコンテンツとなるアニメの発信にも注力している同映画祭。今年はオスカー女優、ヘレン・ミレンの来日や、「機動戦士ガンダム」の大型特集、そして間もなく一周忌を迎える高倉健さんの追悼特集などの目玉特集が数多く予定されている。
しかし近年は北京、上海、釜山といったアジア圏の国際映画祭の存在感も増してきており、そういった映画祭と比較して、「TIFFは大丈夫なのか」と批判の声があがることも少なくない。そんな中、TIFFが進むべき道はどのようなものなのか。同映画祭ディレクター・ジェネラルの椎名保氏に話を聞いた。

歴史ある映画祭には追いつけない

――椎名さんがディレクター・ジェネラルに就任してから、今年で3回目の映画祭を迎えるわけですが。これまでの手応えは?

とにかく大変な仕事を引き受けてしまったなというのが正直なところ。良きにつけあしきにつけ、TIFFって目立つイベントなんです。一生懸命やってもあまりいいことは言われないし、始まったら始まったで大変だし。就任当初はとにかく手探りだった。もっともっと映画祭の知名度を上げて、どうやったらよくしていけるのかを考えたのが1年目だった。

しかし2年目で追い風になったのは、アベノミクス政策の効果で経済が徐々に回復してきたこと。映画祭でいちばん大変なのは資金集め、スポンサー集めですから。これは東京だけでなく、海外でもどこも苦労しているところです。文化というのは、経済の影響を受けやすいものなんです。経費カットとなると真っ先に文化から削られますからね。

――すると今年はホップ・ステップ・ジャンプの「ジャンプ」の年になるわけですか。

3年目という意味ではホップ・ステップ・ジャンプかもしれませんが、ただTIFFというものは1985年から始まってもう30年もやっているイベント。国際映画祭という名の下で自問自答した時に、まだまだそこまでの水準にはいってないというのが僕の率直な意見です。

――世界には、カンヌやベネチアといった70年以上の歴史ある映画祭があります。そこを目指そうということですか。

もちろん映画祭をより大きくしたいという意見はありますけれど、われわれがそういった歴史ある映画祭に簡単に追いつけるとは思ってはいない。そことは違った東京らしい映画祭を確立しなくてはならないということです。そこで昨年からいろいろなことにチャレンジしています。

それがなぜできるのかというと、アベノミクス政策を背景とした国のバックアップがあったから。もちろん映画ファンのための映画祭ということはベースにあるわけですが、そこにプラスして日本映画の発展、映画祭を通した文化の交流といったことにより力を入れられるようになった。3回目の今回に求められているのは、ほかとは違った映画祭を確立することだと思うんです。

――今は畑を耕している状態ですか。

30年たってまだ耕しているのかという意見はあるでしょうがただ今回、ラッキーだったのが、2020年に東京オリンピックが開催されること。東京、日本が注目されているという状況の中で、大きな目標ができました。

映画祭は毎年あるわけですから、そこに向けてどう積み重ねていくか。そして2020年のオリンピック後に向けてどう残っていくか。それは大きく意識していますね。

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