映画『8番出口』が"ホラー"なのに異例ヒットの理由。興収初速は『国宝』超え!原作ゲームは「脱出ホラー系の怪作」。何が観客の心を掴むのか?
サイコスリラー的な要素が強いホラー作品であり、観客を選びそうなタイトルであるにもかかわらず、若い世代を中心に幅広い層が映画館に足を運んでいる。
そのヒットの背景にあるのは、まず原作のゲーム人気だ。もともとYouTuberらの実況などから認知度とファンの裾野が広がっていたなか、若い世代を中心にしたゲームファンのコア層が映画化へ関心を示していた。
加えて、映画公開直前には、東京メトロとの「東京メトロ脱出ゲーム」をはじめ、横浜、京都、神戸、札幌、名古屋の市営地下鉄と西鉄電車の全国6電鉄との「異変探しラリー」など、一般商材や特別展示を含めたさまざまなコラボで、リアルの場での徹底的な周知を図った。
SNSのオンラインプロモーションでは、映画の場面写真8点を公式サイトからダウンロード提供している点も興味深い。リアルとデジタルを両輪にした大規模なプロモーションが、子どもをはじめ、幅広い層への興味の喚起につながっていた。世間一般への巧みなアプローチが効果的に機能している。
ただ、それだけでは大ヒットにならない。その話題性や関心の高さに応えるしっかりした内容の作品だったことが、SNSなどで口コミになり、世の中に風を吹かせた。
さまざまな見立てや解釈が成立する重層的な構造

本作が特徴的なのは、重層的なテーマがあり、さまざまな見立てや解釈が生まれることだ。
白い壁の無機質な地下通路は、全国の主要都市どこにでもある光景であり、既視感とともにどこか親近感も湧く。自然と物語に没入していき、そこで起こることに自身を当てはめて考えやすいだろう。
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