これによって胃から食道への食べ物の逆流を防ぐとともに、小腸へ送る消化物の量を調節しています。
また、胃液に含まれる強酸性の胃酸は胃の細胞も傷つけてしまうため、胃酸が容易に行ったり来たりしないように、胃の入り口と出口でしっかり管理しているのです。
さらに、胃では胃酸とともに粘液も分泌されて、この粘液が胃の内面をおおって胃粘膜を保護しています。したがって胃酸によって胃自体が破壊されることはありません。
しかしながら、なんらかの原因によって胃酸が過剰に分泌されたり、粘液の分泌が抑えられたりすると、胃の粘膜が傷つけられて胃もたれや胃の痛みの原因となることがあるのです。
ほかに代表的な消化器症状といえば嘔吐がありますが、嘔吐は誤って食べてしまった異物や毒物を体外に排泄するための、体に備わった大切な機能です。
ところが、ウマやウサギは嘔吐ができません。
これらの動物は体の大きさの割に小さな胃をしているので、食べ物を入れるとすぐに胃が大きく膨らんでしまいます。にもかかわらず、これらの動物は胃の入り口となる噴門括約筋がとても発達していて胃の入り口を縮ませているため、簡単には嘔吐できないようになっているのです。
嘔吐できないまま胃の中でガスがどんどん発生してしまい、最悪の場合には胃破裂を起こしてしまうこともあります。クラシック三冠馬で名を馳せたナリタブライアンも、胃破裂が原因で亡くなりました。
胃がなくても生きていける?
胃がんは人では代表的ながんの1つで、がんによる死亡者数の上位に必ず挙がります。場合によっては胃をすべて切除しなければならないこともあります。肺や肝臓などと違って、胃のすべてを失っても、ある程度は日常生活を送ることができるのです。
元から胃をもたない動物もいます。サンマ、イワシ、金魚、メダカ、コイなどの魚類は胃をもっておらず、無胃魚と呼ばれています。サンマやイワシが内臓まで美味しく食べられるのは、胃がないために消化管に留まっている餌が少ないから、というのが理由の1つです。
ちなみに、動物は死亡するとまもなく腐敗(ふはい)が始まりますが、これは胃や腸から始まります。胃や腸の中にはもともとさまざまな微生物がたくさん棲息していて、微生物にとって栄養豊富な消化物や消化液がたくさん含まれているためです。
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