「朝だけ断食」「週末だけ断食」効果の本当のところ…気をつけるべき点は何か

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1つ大きな違いとして、ファスティングの様式があります。日内時間制限(※5)や5:2の断食(※6)では効果が示されず、4:3では効果がありました(※7)。これが肝となるポイントかは不明ですが、参考にはなる情報かもしれません。

少なくとも「どんなスタイルのファスティングでも効果がある」とは言えません。

間欠的ファスティングで気をつける点

実際に私たちが行おうとする際、気をつけるポイントは2点あります。

1つ目は、上述の結果は実験環境のものだということです。「ダイエットを行う臨床研究に参加している」という特殊な状況下では、そのダイエットを遵守できる可能性は高いと言えます。

ですので、これら研究の結果をそのまま私たちの日常生活に当てはめることはできません。また、対象者もBMI30以上、体重100kg近くの肥満の方が多く、日本人でどれほど効果があるのかは不明です。

2つ目は、栄養素の不足に注意する必要があるということです。特に長期に、しっかり継続できる方に注意です。ファスティングを行う際は、必ず食物摂取量が少なくなるため、「何を食べるか」が健康により直結します。

バランスよく、栄養価の高いものをしっかり摂取できなくては、せっかく体重が減っても「食事からの恩恵」が得られません。そのため、上述のような研究では、必ず栄養士などがファスティングの際の栄養サポートを行っています。

脱水や低血糖のリスクもあり、栄養士などのサポートなくファスティングを行うことにはリスクが伴うため、栄養士や医師などの専門家のサポートなしに自己流でファスティングを行うことは、一般的に推奨されていません。

マウスなどでの基礎的な実験でさまざまな健康メリットが証明されている分、ファスティングは科学的にも注目されています。うまく行えば、ただのカロリー制限と比較し、より効率的なダイエット効果が得られるかもしれません。

しかし、まだ優位性がはっきり示されているとは言えず、誰がこの食事法で恩恵が大きいかもわかっていません。これからの研究に注目しながら、興味がある方は医師にご相談ください。

【参考文献】
※1. Green CL, Lamming DW, Fontana L. Molecular mechanisms of dietary restriction promoting health and longevity. Nat Rev Mol Cell Biol. 2022;23:56–73.
※2. Jamshed H, Steger FL, Bryan DR, Richman JS, Warriner AH, Hanick CJ, Martin CK, Salvy S-J, Peterson CM. Effectiveness of Early Time-Restricted Eating for Weight Loss, Fat Loss, and Cardiometabolic Health in Adults With Obesity: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2022;182:953–962.
※3. Patikorn C, Roubal K, Veettil SK, Chandran V, Pham T, Lee YY, Giovannucci EL, Varady KA, Chaiyakunapruk N. Intermittent Fasting and Obesity-Related Health Outcomes: An Umbrella Review of Meta-analyses of Randomized Clinical Trials. JAMA Netw Open. 2021;4:e2139558.
※4. Catenacci VA, Ostendorf DM, Pan Z, Kaizer LK, Creasy SA, Zaman A, Caldwell AE, Dahle J, Swanson B, Breit MJ, Bing K, Wayland LT, Panter SL, Scorsone JJ, Bessesen DH, MacLean P, Melanson EL. The Effect of 4:3 Intermittent Fasting on Weight Loss at 12 Months : A Randomized Clinical Trial. Ann Intern Med. 2025;178(5):634-644.
※5. Liu D, Huang Y, Huang C, Yang S, Wei X, Zhang P, Guo D, Lin J, Xu B, Li C, He H, He J, Liu S, Shi L, Xue Y, Zhang H. Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. N Engl J Med. 2022;386:1495–1504.
※6. Carter S, Clifton PM, Keogh JB. Effect of Intermittent Compared With Continuous Energy Restricted Diet on Glycemic Control in Patients With Type 2 Diabetes: A Randomized Noninferiority Trial. JAMA Netw Open. 2018;1:e180756.
※7. 4に同じ。
濱谷 陸太 ハーバード大学医学部講師/医師

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はまや りくた / Rikuta Hamaya

専門は予防医療、特に食事やサプリメントを用いた予防的介入の個別化。循環器内科医として臨床経験を積んだ後、ハーバード大学で疫学博士を取得。現在はブリガムアンドウィメンズ病院で予防医療研究の講師(インストラクター)を務める。また、日本で株式会社エブリワン・コホートを創業し、日本の予防医療を発展させるべくCEOとして活動中。3児の父。

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