では、こうした勘違いを乗り越え、相手視点に立つにはどうすればよいのだろうか。部下に「話すメリット」を感じてもらうには、「逆・報連相」のような働きかけに加え、対話そのものにおいても上司からの積極的な関与が求められる。そこで有効なのが、相手の状況に合わせて関わり方を使い分ける、次の3つのアプローチである。
部下への働きかけで効果的な3つのアプローチ
経験の浅い相手には、傾聴ではなく積極的な働きかけが必要である。
ただし、いきなり答えを教えるのではなく、段階的に導いていくことも心がけよう。相手の自主性を尊重しつつも、適切な方向性を示すのだ。そのために使えるのが、次の3つのアプローチである。
これは、直接的に答えを教えるのではなく、ヒントを与えて相手の気づきを促す方法だ。
「隣の部署のA君、最近新しい資格の勉強を始めたらしいよ」
「同期のB子さん、業務改善の提案をして評価されているみたいだね」
「他のチームでは、こんな取り組みをしているそうだ」
このように、身近な事例や情報を提供することで、相手に「自分も何かできることがあるかもしれない」と思わせる。
示唆の効果は、相手が自分で気づいたと感じられる点だ。押し付けられた感覚がない。そのため、素直に受け入れやすいというメリットがある。
これは、相手の現状を踏まえたうえで、別の視点や選択肢を提示する方法である。
「今の業務で気になることがあるなら、違う角度から考えてみるのはどうだろう」
「この課題については、もうひとつの見方がある」
「もし改善するとしたら、どんなアプローチが考えられるだろうか」
助言のポイントは、断定的に言わないこと。「〜すべきだ」ではなく「〜してみてはどうだろう」と伝える。これにより、相手は自分で判断する余地を持てるのだ。
また、助言は相手の状況に合わせてカスタマイズしよう。画一的なアドバイスではよくない。その人の性格や能力レベルを考慮した内容にする必要がある。
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