「日本は、すぐに死なずに済む国なんだ…」年収5500万円から生活保護に転落した作家の"どん底での新発見"

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立花さん
2025年3月、お昼時に鎌倉の立花さんご自宅にて(写真:筆者撮影)

しかし皮肉にも、死のうとすればするほど、彼は「死ななくてもいい現実」に直面することになる。

「死ねない国、ニッポン」で知った制度のリアル

「不思議なんですが、死のうと思っても、すぐには死ねないんです」

家賃を滞納し「滞納イコール人間失格」で「すぐに追い出されて路頭に迷う」と怯えていた。だが現実は違った。

「怖い人たちが押しかけてくる、みたいな勝手なイメージがあったんです。しかし、日本の法制度は賃借人を守るようにつくられているらしく、滞納したからといって、すぐに追い出される状況ではなかったです」

生活保護も、彼の想像とはまったく違った。

「僕は生活保護の条件に当てはまり、審査に通りました。初回の受給は2024年12月で、金額は忘れましたが、振込ではなく市役所に出向いて封筒に入った現金を手渡しで受け取りました」

自己破産は、1月に「法テラス」という無料で弁護士に相談できる仕組みで申請方法を教えてもらい、面談を担当してくれた弁護士にそのまま自己破産の手続きを依頼して、2月から処理がスタート。手続きが終わるのには半年くらいかかると伝えられた。

「生活保護の生活に、自己破産、クレジットカードはブラックリスト。でも……絶望しかけたところで『ギリギリ支える仕組み』が動いていたんです。『ああ、日本って、すぐに死ななくてもすむ国なんだな』って思いました」

もちろん、制度の対応が完璧とは言えない。機械的で、冷たい印象を受ける部分も多い。

だが、最低限の「命を守るインフラ」は、たしかに機能していた。

「SNSで『生活保護なんて受けたら終わり』って言ってる人も多いですよね。でも、実際に使ってみて、思ったんです。これは『再起のための準備期間』としても捉えられるかもしれないって……」

鎌倉の海街に定住したあとの初日の出。立花さん宅から徒歩1分の材木座海岸の写真。(写真:立花さん提供)
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