「日本は、すぐに死なずに済む国なんだ…」年収5500万円から生活保護に転落した作家の"どん底での新発見"

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誰にも頼れない。生きている意味がわからない。すべてが嫌になった。自然と自死を意識し、望むようになった。

「いまも人の迷惑をかけない死に方があるなら、その方法を選びたいと考えています。取材に応じている現在も、その考えに変わりはありません」

夏場は上半身裸、下は水着でランニングに出て、汗だくで走り終えたらそのまま海に飛び込む。海街では夏は上半身裸でランニングする人が多く、みんな真っ黒に日焼けしていた(写真:立花さん提供)

日本には安楽死の制度がない。立花さんはそこに大きな葛藤があった。

「昨年の10月、11月の一番うつがひどいときっていうのは、『どう自分を終わらせるか』ってことばっかり考えていたんです。僕は『人に迷惑をかけない形でいなくなりたい』って思っていたのですが、日本には安楽死の制度がないため、案外難しいんです。電車に飛び込めば、運転手さんにもお客さんにも迷惑かかるし、ビルから飛び降りても一緒ですよね。この家で首をつっても大家さんに迷惑がかかって、事故物件になってしまう」

「痛いとか苦しいとか汚いとかは、怖いし、嫌だ」という思いと、「誰にも迷惑をかけたくない」という気持ちが、彼をギリギリで踏みとどまらせていた。

「迷惑をかけずに死にたい」絶望の淵で

さらに立花さんの話は、独自の理解しがたい領域にまで踏み込んでいく。

「いま一番いいなと思うのが、子どもたちを守って、代わりに命を差し出すパターン。たまたまニュースで見かけましたが、小学校の下校中に車が突っ込んでくるような事故がありましたよね。僕、そういう子どもたちを守って車に飛び込んで、代わりに死ぬのが一番いいと思っています」

「死んでも軽蔑されないし、親御さんにも感謝されるし、うちの母にも『若い命を守って死んだんだったら、よくがんばった』と思ってもらえる。社会的にも認められそうですよね。命の使い方の最後としてはいいな、と考えています」

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