実は対象となる収入が異なる「税」と「社会保険」…昨今話題の《年収の壁》の間にある"厄介な隙間"とは

「税の壁」と「社会保険の壁」の整理
そもそも「年収の壁」といわれるものは、年収によって税・社会保険料の納付義務が異なることから生まれます。基準となる年収を超えるか超えないかで、本人の手取り額や、世帯での手取り額に差異が生じる制度になっているため「壁」といわれるのです。
「壁」を超えないように、11月頃から就業調整を申し出るアルバイト・パートタイマー等の短時間労働者がいることで、人材の確保に苦慮している事業者も多く、労使双方にとって大きな問題となっていること、物価上昇に賃金上昇が追いついていないことへの施策として2025年度の税制改正が行われました。
社会保険の「壁」については、まだ具体的な時期や内容が決まっていない部分もありますが、「106万円の壁」の段階的な撤廃や19歳以上23歳未満の健康保険の被扶養者の認定の取扱い変更が確定しています。
「年収の壁」を見直した今回の所得税法改正を理解するため、前提となる「税の壁」と「社会保険の壁」について確認しておきましょう(図表1)。

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