実は対象となる収入が異なる「税」と「社会保険」…昨今話題の《年収の壁》の間にある"厄介な隙間"とは

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特に大学生年代の扶養親族がいる従業員の年末調整には、注意しなければなりません。年末調整で健康保険の扶養にならないことが判明した場合は、速やかに健康保険の扶養対象から外す手続きをしましょう。

なお、2025年のみアルバイト先の繁忙により、一時的に年収が150万円以上になった場合は、年収の壁支援強化パッケージの対象となり、アルバイト先の事業主の証明書があれば、健康保険の被扶養者から外さなくてもよいという取扱いとなります。(参照:厚生労働省「年収の壁」への対応

(3)実務ポイント3:2026年の変更点

2026年の月々の給与・賞与等では、2025年度改正を反映した「給与所得の源泉徴収税額表」を用いて、所得税の源泉徴収をします。その他にも、以下に挙げる改正が行われました。

①子育て支援策として、23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除額の計算方法を変更する(2026年のみの時限措置)
②40歳未満で配偶者を有する者、40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者または19歳未満の扶養親族を有する者(特例対象個人)が認定住宅等の新築等で、2025年1月1日から同年12月31日までに居住の用に供した住宅借入金控除の特例
③退職手当等の支払いを受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払いを受けている場合には、退職所得控除額の計算で勤続期間等の重複排除の特例の対象とし、老齢一時金の退職所得申告書の保存期間を7年から10年に変更
④退職手当等の支払いを受けるすべての居住者(現行:退職手当等の支払いをする法人の役員である居住者)の退職所得の源泉徴収票を税務署長に提出する義務を設ける
⑤特定親族特別控除は、特定親族の合計所得100万円以下の場合には給与等の、85万円以下である場合には公的年金等の源泉徴収の際に適用可能
⑥小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の控除証明書の添付に代えて、当該控除証明書の記載事項を記載した明細書を提示することができる

「世代ごと」に押さえておきたい変更点

①の23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除額の計算方法については、図表5のとおり、控除額の合計12万円は変更せず、一般生命保険料控除額を4万円から6万円に引き上げるものです。

(出所:『企業実務6月号』より)

子育て世代では、介護医療保険料控除・個人年金保険料控除よりも一般生命保険料控除額を大きくし、支援していこうとするものです。ただし、時限措置として2026年分に限定されています。

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