同社の業績推移を見ると、その回復の劇的さが分かる。
2022年11月期:売上高109.1億円(営業損失1.6億円)
2023年11月期:売上高140.7億円(営業利益7.6億円)
2024年11月期:売上高168.6億円(営業利益8.4億円)
2025年11月期(予想):売上高201億円(営業利益10.6億円)
2021年から3年で売上高は約3倍に、営業利益は34億円改善。この劇的な数値こそが、「自殺行為」と言われた決断の正しさを証明している。
支持を支えた「明るく清潔な店」と体験価値
ここまでの話で、禁煙化によるメディア露出がブランド認知とイメージ向上につながり、ファミリー客が増加したことは分かった。だがファミリー客はたとえ「禁煙の店だとテレビで知って一度訪れた」としても、そこで気に入らなければ、二度は訪れない。
親子連れに支持されている真の理由を坂本社長は、「明るく清潔な店」と「ファミリー客に愛される接客を実践できるスタッフ」にあると見ている。
【成功要因①】徹底した衛生管理
串カツ田中の店内は、一般的な居酒屋とは明らかに違う。白を基調にした照度の高い空間で、いつ訪れても清潔感がある。
この状態を維持する仕組みは徹底している。毎日数回の清掃と完了チェック、さらに本部の内部監査が月1回入る。「ものが落ちていたり、汚れが残っていると感じることがない清潔な状態を保つ」のが絶対ルールだ。
「清潔感は非常に重視しています。特にファミリーはお子さんがいろいろなところを触るから、汚い店には行きたくない。多少古くても、明るくて、綺麗に掃除されている店だから選ばれているのではないでしょうか」(坂本氏)

【成功要因②】「自分で考える」スタッフによる体験価値の提供
「明るく元気なスタッフ」も創業以来の強みだ。その背景には「自分で考える」ことを推奨する企業文化がある。基本マニュアルはあるが、「お客様一人ひとりが笑顔になる」ことを考えて行動することを最優先にしており、店長や社員、アルバイトの個性が活かされているのだ。
その動きを知るために、筆者が息子と訪れたある日の光景を振り返ってみよう。
席につくやいなや、スタッフが笑顔で息子に声をかけてくれた。 「ジュースが無料になるかもしれないけど、じゃんけんしてみる? 何が好き?」。続けて、「たこ焼きも9個無料で焼けるけど、挑戦してみる?」。このふた言で、息子の目は輝いた。
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