この露出により、認知が急速に広がった。企業イメージも上がり、坂本社長は「すごくいい会社だよね」「串カツ田中なの? 知ってる」と初対面の人に言われることが増えたそうだ。お茶の間からの親しみが生まれ、芸人のYouTube動画の撮影などにもよく使われるようになった。
「聞いたことないっていう人にはなかなか会わなくなりました。今思えば、大きな分岐点でした」(坂本氏)
さらに、ファミリー客の増加が思わぬ効果を生んだ。待ちくたびれると子供が騒ぎ出して、「提供が遅い」というクレームが増えたため、提供スピードの改善につながったのだ。「提供遅れ撲滅プロジェクト」を発起し、「スピードメニュー」の開発を進めたことで、全体のサービスが向上したのである。

コロナ禍が証明した「先見の明」
さらに追い風が吹いたのは2020年4月、改正「健康増進法」施行により飲食店は原則禁煙となった。串カツ田中の決断から2年、ついに業界全体が同じスタートラインに立ったのだ。そのとき、串カツ田中はすでに「禁煙居酒屋のパイオニア」として圧倒的な先行優位を築いていた。
そして同時期、コロナ禍が襲う。
一般的な居酒屋が売上90%減という壊滅的打撃を受ける中、串カツ田中は驚異的な回復を見せる。
「ファミリー層に支持されていたことと、住宅街に多くの店舗を持っていたことが功を奏しました」(坂本氏)
外出を控える中での「近所で、家族で食事しよう」「テイクアウトして帰ろう」という需要を確実に捉えたのだ。

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