しかし2018年、串カツ田中は業界に先駆けて全面禁煙に踏み切った。メディアには「自殺行為」と言われ、案の定、9カ月連続で売上は前年割れ。メディアは「禁煙化ショック」と書き立てた。常連客のほとんどを失いかねない大胆な決断だった。
だが時は流れ、2025年11月期第2四半期決算を見ると、売上高は前年同期比28.0%増の約103億円、営業利益は前年同期比49.9%増の約6.8億円と、串カツ田中ホールディングスは大幅な増収増益を達成している。通期では売上高201億円の予想。前期の実績である168億円から、大幅な増加を見込んでいる。
この逆転劇はどのように起きたのか。代表取締役社長CEOの坂本壽男(としお)氏に聞いた。

「理念と現実のギャップ」に直面した経営判断
2018年6月1日。串カツ田中は、子供が訪れない一部の立ち飲み店とフロアをのぞいて、全面禁煙に踏み切った。その対象は、国内195店舗(当時)の92.3%に当たる、180店舗。
決断した理由は、「一人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献し、全従業員の物心両面の幸福を追求する」という、当時の企業理念への原点回帰だ。
さらに、国内1000店舗を目指し、「串カツを日本を代表する食文化にする」という壮大なビジョンも掲げていた。
「『串カツで一人でも多くの笑顔を作りたい』『串カツを日本を代表する文化にしたい』という気持ちで経営しているのに、店を見ると、タバコの煙モクモクのなかで子供が食事をしていました。身体に悪そうだし、理念やビジョンに沿っているとはとてもいえないのではと感じた、と当時社長だった貫 啓二(現・代表取締役会長)が決断しました」(坂本氏)

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